研究課題/領域番号 |
20H02144
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 峻 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70546910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 仮説検定 / 認証 / ゼロ知識証明 / 同定符号 / ビットセキュリティ / 情報理論 / セキュリティ / 暗号理論 / 分散検定 / 生体認証 |
研究開始時の研究の概要 |
IoT技術の発展に伴い,システムへの不正アクセスを防ぐための認証技術はますます重要になってきており,指紋認証や虹彩認証などの生体認証の利用は増加していくと考えられる.しかしながら,生体認証をリモートで行う際に,生体情報をそのまま回線で送信してしまうと,通信途中で生体情報が盗聴されてしまう危険性がある.生体情報は一度漏洩してしまうとパスワードのように変更ができないため,極めて深刻な問題となる.従って,情報の漏洩を抑えた認証方式の提案が望まれる.本研究では,生体認証をネットワーク情報理論における分散検定として捉え,不正検出のための分散検定理論を構築する.
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研究実績の概要 |
本年度は大きく分けると二つの成果が得られた。
一つはビットセキュリティに関する成果である。。ビットセキュリティはある暗号システムを破るために必要なコストを定量的に表す指標であるが、判定型の問題において適用可能なビットセキュリティのよい定義がなかった。先行研究において導入されていたビットセキュリティの定義は操作的な意味付が不明であったが、昨年度の研究において、我々の研究では操作的な意味付が明確な新しいビットセキュリティの定義を導入することに成功した。本年度の研究では、我々が提案したビットセキュリティの定義と、先行研究におけるビットセキュリティの定義が等価であることの証明に成功した。この成果により、二つのセキュリティ基準が統一的に扱えるようになった意義は極めて大きいと考える。また、擬似乱数生成器の構成において重要な役割を果たすGoldreich-Levinの帰着が、我々のビットセキュリティの意味でもタイトであることを明らかにした。
もう一つの成果は、符号化問題のタイトな強逆指数定理に関する成果である。例えば通信路符号化問題では、通信レートがShannonの通信路容量を超えた場合、誤り確率が指数的に1に収束することが古くから知られている。多数のユーザが参加するマルチユーザネットワークにおいては、最近になっていくつかの進展があるものの、タイトな収束速度が明らかにされていない状況であった。本年度の研究では、数年前に申請者がTyagi博士と共同で発展させた解析手法をさらに精密化することで、Wyner-Ahlswede-Korner (WAK)ネットワークと呼ばれるマルチユーザシステムにおいてタイトな強逆指数を導出することに成功した。WAKネットワークの解析はセキュリティシステムの安全性解析とも関連しており、今後の発展が見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と変更はあるものの、十分な成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は大きく分けると二つの課題に取り組む予定である。一つは、我々が導入したビットセキュリティの意味で、ビットセキュリティを保ったまま、暗号プリミティブの性質を変化させることが可能かどうか検討していく。もう一つの課題は、昨年度の研究において見出したWAKネットワークにおける強逆指数の評価法を仕上げて、論文として投稿することである。さらに、この方法の適用可能性を広げていく。
また、昨年度得られた結果は国内研究会を除き未発表であるため、世界に向けて発信していく。
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