研究課題/領域番号 |
20H02169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
金子 修 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00314394)
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研究分担者 |
定本 知徳 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40839966)
増田 士朗 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (60219334)
山本 豪志朗 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70571446)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | データ駆動制御 / データ駆動予測 / 制御性能解析 / 制御仕様 / 三項関係 / 制御性能 / データ駆動外生信号整形 / 性能解析 / 大規模システム / データ駆動外生信号成型 / データ駆動参照値整形 |
研究開始時の研究の概要 |
データを直接用いることで制御系を設計するデータ駆動制御というアプローチにおいて,そのアプローチの本質的ステークホルダーである制御・制御仕様・用いるデータの関係を理論的に解析し,対象の本質的性能と限界を鑑みつつ,圧倒的なコストダウンで,それを実現するための設計理論を構築する.また,その発展として,データを直接用いてシステムの振舞いを予測するデータ駆動予測の理論と方法論も構築する.そして,特性が複雑または大規模なシステムへの適用を通して,得られた成果の有用性を検証する.
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研究実績の概要 |
GIMC系やカスケード制御系へのVIMT適用を通じて,より広いクラスの制御系に対して仕様を反映したデータ駆動制御法を提案した.また,動的量子化器に対するデータ駆動制御器更新についても昨年に引き続き行い実験でも検証した.これらは制御と仕様の関係に関連した手法として有益な成果である. また,比例微分先行型FRITに対する毒化攻撃法について,制御器調整法が凸最適化であることを利用して検討した.これらはデータ駆動制御セキュリティの研究成果の一つとして重要である. 定値制御系に対して一般化最小分散評価に基づいた閉ループ同定法やデータ駆動制御器調整法,繰り返し実験によるデータ駆動制御器調整において予測誤差法を利用した評価関数の勾配推定法,カーネル法の導入により雑音にロバストなデータ駆動制御器調整法,予測誤差法を利用して制御器パラメータとプラントモデルを同時推定するデータ駆動制御器調整法,繰り返し学習制御によるフィードフォーワード補償器を導入したデータ駆動制御器調整法に関する各々の研究成果を発表した.これらも仕様や制御のクラスの拡張に着目したデータ駆動制御の研究として重要である. 階層システムと呼ばれるネットワークシステムを対象として,完全に分散的に学習可能な手法を提案した.この成果は,学習に要する計算量・データ量が対象のサブシステム数に依存しないスケーラブルな手法であるという特徴を持つ.また,一部の入出力情報のみしか観測できない状況下での方策勾配法について,大規模システムへの展開を見据えたパラメータ感度の低い手法を提案した.提案法の有効性は電力システムを模したシステムで検証した. 人間の反応のモデリングと制御では,昨年から作成している実験システムで使用する制御理論の具体的検討とその効果を確認するための実験の検討を引き続き行った.最終年度に有益な実験結果を得るための重要な成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年に引き続きデータ駆動制御と予測のさまざまな応用を見出すことができ,対象や制御器のクラスの拡張,定置制御など制御問題の拡張を順調に行えて,いくつかの発表や論文で公表できことから,順調に進展していると考えている.そのうちのいくつかは実験検証も交えていることも有用性をしめすという意味で進展しているといえる.そして制御セキュリティへの応用の一環として,データ毒化の研究でも昨年に引き続き成果を得たことが特筆すべきである.以上のような理由でおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,大きな目標としてデータ駆動制御に関する制御・仕様・データの三項関係について,ここまでで得られた成果を整理する. データ駆動予測についての予測誤差解析,そしてそれに基づく目標設定法の新しい方針について,まだ明らかになっていない収束性やロバスト性などを中心に理論的に裏付けされた方法論の確立を目指す.また毒化攻撃についても,より実際に近い状況での検討を行う. 定値制御系に対する繰り返し実験によるデータ駆動制御器調整法に関して予測誤差法を用いた手法に関する研究を継続し,逐次解法の導入や周波数領域からの解析を進める.また,予測誤差法を用いた制御器とプラントモデルの同時推定法に関して研究を継続し,可同定性の解析やロバスト安定性などの理論解析を進める.また,オフライン調整法として開発されているデータ駆動制御器調整法のオンライン化したモデル規範型適応制御系の設計法について取り組む.さらに,モデルフリーの繰り返し学習制御手法に対してデータ駆動制御器調整法のアプローチを導入する手法について検討を進める. 制御・データ・仕様の3項関係に基づくデータ駆動制御のためには,データの”量”が重要であることが明らかとなった.しかし,大規模システムへ単純に適用するとデータ量も大規模とならざるを得ない.この観点から昨年度は,大規模システムへの適用を想定して,分散学習手法の提案と一部の入出力情報のみを用いた方策勾配法の収束性能解析の基礎を与えた.本年度では実応用化を見据え,本手法の耐ノイズ性検証および非線形システムへの展開を目指す. 人間系の反応についての実験もすすめ,検討結果をまとめる.データ駆動制御の他の機械系などを中心とした応用例についても,可能な限り実験検証をおこなう.
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