研究課題/領域番号 |
20H02170
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸田 一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20625511)
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研究分担者 |
藤本 健治 京都大学, 工学研究科, 教授 (10293903)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 制御工学 / 最適制御 / システム同定 |
研究開始時の研究の概要 |
車両の経路や人工衛星の軌道,ロボットの運動などのエネルギー効率が重視される非線形系の最適制御問題の多くは複数の局所最適解をもっており,局所最適解の唯一性を前提とした既存の方法では性能のみならず安定性が損なわれることも多い.したがって,複数の局所最適解の存在を前提とし,大域的な最適解を探索する方法の開発は最適制御の効率と安全性を改善する鍵となる.本研究では最適軌道データベースの導入によって,従来十分に検討されていなかった局所最適解の複数性に起因する問題を可視化し,近年著しく発達した計算機技術を活用する計算集約的なアプローチによる解決を試みる.
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研究実績の概要 |
非線形最適制御問題の大域的な最適解が得られる実用的な方法を開発するという研究目的に対し,本年度は2つの方向から研究を行った. 1つめは高次元の状態空間や複雑な挙動を持つ非線形システムに対して,より効率的に最適軌道や最適制御入力を得る方法についての研究である.まず,前年度に有用性が見いだされたフォーメーション制御を援用した探索について研究し,価値関数の曲率をフォーメーションにおいて近傍に居るエージェントの情報から内挿することで簡便かつ精度よく探索できることを示した.また,ニューラルネットワークによって価値関数のモデリングを行うアプローチについても研究し,最適軌道のデータがない領域についても最適軌道が満たすべき方程式の式誤差を考慮し,段階的に訓練を行うことでニューラルネットワークによるモデリングを適切に行えることを示した. 2つめは実用的な非線形システムのモデリングに関する研究である.制御器の設計には対象システムのモデルが必要不可欠であり,近年では計算機技術の発達とともにモデル予測制御の有用性も増している.これについては,前年度に引き続き,機械学習分野で重用されるニューラルネットを用いた自己符号化器のアイデアを,システム同定分野で一般的な部分空間同定法と組み合わせるアプローチを中心に研究を行い,機械学習分野で利用されている変分オートエンコーダのアイデアを導入することで,システムの不確実性を反映したモデルを構築する方法を開発した. また,開発した方法を検証するための簡易な実験装置として,ミニチュアのカメラ付き前輪操舵車とPCから自動操縦可能な高機動ドローンの開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進展に伴って,当初想定していたアプローチと多少異なるアプローチとなっているが,おおむね目標に沿った方法が開発され,実験機による検証の段階に到達しているので,順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでの研究で開発された方法の検証を中心に研究を進める.特に,(1)最適軌道データベースに基づく最適制御方法(2)ニューラルネットを用いた部分空間同定法および得られたモデルに基づくモデル予測制御,の2つのアプローチを中心に検証を行い,得られた知見をもとに研究を進める. 制御方法の検証においてはリアルタイムでの高速な計算が必要になり,システム同定を含む設計方法の検証においては大規模な並列計算が必要となるので,計算機資源の活用において先んじている機械学習分野の知見の利活用についても並行して調査研究を行う.
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