研究課題/領域番号 |
20H02194
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 陽一郎 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60801123)
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研究分担者 |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
グリーブス サイモン・ジョン 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60375152)
平野 愛弓 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80339241)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | コンピュテーショナル・ストレージ / 神経構造 / 可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、全脳規模で神経構造・ダイナミック伝達機能の3次元可視化解析を可能とする革新的なエッジ型コンピュテーショナル・ストレージプラットフォームの開発を目指す研究である。脳神経構造可視化解析では、HPCに巨大データを転送する遅延時間が致命的律速になり迅速な解析ができない。これを解決するために、データ創出源でデータ記録を担う大容量ストレージ内部において高度なデータ解析を可能とする革新的なエッジ型コンピュテーショナル・ストレージ概念のデータ解析プラットフォームを開発する。本研究では、電子・情報工学と神経科学の領域融合アプローチによって目標の達成を目指すものである。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、全脳規模神経構造の3次元可視化解析を可能とするためのコンピュテーショナル・ストレージ解析テストベッドの構成を発展させ、全体で6つのコンピュートノードと11のストレージノードを一体化した。6-GPUs/24-CPUs(324コア)及び1344GBメモリに拡張したコンピュテーション 機能を実装した。同時に、大容量垂直HDDクラスタと高速SSDクラスタによるストレージを大幅に拡張して合計2.2PBのストレージ機能を一体化し、強力なコンピュ テーショナル・ストレージ解析プラットフォームを発展させた。これに分散オブジェクトストレージのCephファイルシステムを実装し、データ解析処理に関する性能を評価した。解析性能を最大化を目的にCephシステム内におけるデータ配置を最適化し、脳神経構造3次元可視化ツールとラット大脳皮質神経画像システムを適用した性能向上を検証した。大規模データ処理に対し、HDDクラスタ並列転送のメリットを活かしたエッジキャッシュの利用により、データアクセス性能を大幅に高めることが検証された。 ストレージデバイスの研究開発では、熱アシスト型垂直磁気記録方式による多重化の可能性について継続して研究を実施した。上下二層構造の記録各層のキュリー温度を最適化しレーザー加温を制御することにより、記録密度を2倍に高める多重記録の性能を検証した。スピントルク発振素子を用いたニューロモルフィック記録構造の検討に着手した。 神経構造・ダイナミック伝達機能の3次元可視化解析プラットフォームの開発では、3次元蛍光顕微鏡およびCaイメージングによるダイナミック神経伝達機能のデータアクイジションシステムを構築し、上記テストベッドを専用の高速光ネットワークで一体化し迅速なデータ転送とコンピュテーションを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンピュテーショナル・ストレージ解析プラットフォームのシステム構成を、容量2.2PB級のHDD/SSDハイブリッドストレージに拡張し、GPU/ CPUと1.3TB級大容量メモリによるコンピューティング機能を統合した分散オブジェクトストレージ(Ceph)として構築した。性能検証には、脳神経構造3次元可視化ツールと分担研究者が開発したラット大脳皮質神経画像システムを適用し、分散ストレージ内のデータ配置最適化による性能向上を確認した。 ストレージデバイスの研究開発では、継続して熱アシスト型垂直磁気記録方式における各記録層キュリー温度とレーザー加温の最適化制御により、記録密度向上を確認した。新たにニューロモルフィックなデータストアの検討も開始した。 神経構造・ダイナミック伝達特性の3次元可視化解析プラットフォームの開発では、3次元蛍光顕微鏡およびCaイメージングによるダイナミック神経伝達機能のデータアクイジションシステムとテストベッドを専用の高速光ネットワークで一体化し、高速なデータ解析処理を可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)コンピュテーショナル・ストレージのモジュール最適構成の研究: コンピュテーショナル・ストレージ基盤を継続して拡張し、性能の最適化検討を実施する。分散ストレージシステム内におけるデータ配置の最適化検討とともに、コンピュータノード内にNVMe型高速フラッシュメモリSSDをベースにしたストレージクラスメモリを配置して、ストレージシステム全体からのデータアクセスの性能検証を行う。性能評価には、ベンチマークツールと脳神経構造3次元可視化ツール、ラット大脳皮質神経画像システムを適用する。 (2)ストレージデバイスの高速アクセス化の研究開発: スピントルク発振素子を用いたニューロモルフィック記録方式の基本構造と機能に関する研究開発を行い、高速不揮発性磁性ストレージの可能性を検討する。 (3)蛍光カルシウムメージングにより取得した培養神経回路の時系列画像データを対象として、大容量神経データを解析処理するための高速光ネットワークの性能を拡充する。課題(1)で構築したストレージシステムにおけるデータ通信や解析時の性能を評価を通し、シームレスな高速解析の手法を検討する。
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