研究課題/領域番号 |
20H02313
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保田 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 教授 (80549741)
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研究分担者 |
佐古井 智紀 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (70371044)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
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キーワード | 熱的快適性 / 温熱生理 / 適応モデル / 熱帯地域 / 発汗 / 着衣 / インドネシア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,成長著しいインドネシアを対象として,熱帯地域で用いるための人体熱モデルに基づく温熱快適性適応モデルを提案し,その有効性を実証する。まず,温熱環境,活動,温熱生理,温冷感,温熱快適性に関する大規模な現地調査を行う。次に,皮膚温と発汗量によって活動ごとの温熱快適域を具体化する。この快適域を人体と環境間の伝熱解析と組み合わせることで着衣や気流が多様に変化する条件下での温熱環境の快適域へと変換し,空調建物と自然換気建物の両方に使用できる温熱適応を考慮した温熱快適性モデルとして提案する。これに並行して,提案モデルを用いた実地データを複数の主要都市を対象に収集し提案モデルの妥当性を検証する。
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研究実績の概要 |
当初予定していたインドネシア現地での実地調査ができなかったため,2022年度は,(1)昨年度に引き続きインドネシアの一般成人を対象とした着衣に関する全国調査結果の解析を進めるとともに,(2)実地調査の予備実測を上田市で実施した。 着衣調査に関しては,収集した3000サンプルのデータを解析し,インドネシア一般成人の典型的な着衣の組み合わせパターンを分析するとともに,それぞれのパターンにおける着衣量を定量化した。さらに,エアコンの使用に特に着目しながら,類型化された着衣パターンに影響を与える要因を考察した。得られた主な知見は下記のとおり。 1.男女ともに,工場労働者よりもオフィス労働者の方が多くの着衣を使用していた(クロ値:0.6-0.7(工場),0.7-0.8(オフィス))。しかし,どちらの労働者も自宅では非常に軽装であった(0.3-0.4)。また,全体として女性の方が男性よりもクロ値は高かった。これは,文化・宗教的な要因も影響していると考えられる。 2.平均的に,エアコン使用率は,工場よりもオフィスの方が有意に高く,エアコン使用の嗜好性は,男性の場合には,自宅での適応行動と関係していたが,職場においては関係が見られなかった。全体として,男性とは異なり,女性の熱的快適性に関する適用行動は,社会経済的要因や文化・宗教的要因が大きく影響していることが示唆された。 予備実測は,2022年度中の夏季,秋季,冬季の3季に,上田市内に在住する学生4名を対象に実施した。被験者の自宅において,冷暖房の使用状況調査,温熱環境実測,温熱快適性調査を同時に行い,冷暖房使用時と不使用時のSET*による温熱快適性の差異を考察した。その結果,日常生活以上の積極的要因を求めて滞在することの少ない自宅では,SET*で表される温熱快適域における自身の選択に基づく冷暖房の使用と不使用による差異はほとんどなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響で実地調査ができずに全体計画が遅れていたが,その代わりに着衣の全国調査などを実施し当初の計画にない成果が得られた。また,渡航制限も緩和され,インドネシアでの現地調査が実施できるようになり,当初計画どおりの実地調査も実施できる見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度中に当初計画にあった実地調査を実施する予定である。これに当初計画にはなかった着衣調査の結果を統合させることによって,当初計画どおりの熱的快適性の適応モデルの開発・提案を行う予定である。
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