研究課題/領域番号 |
20H02320
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
|
研究分担者 |
高木 泰士 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40619847)
地引 泰人 東北大学, 災害科学国際研究所, 客員研究員 (10598866)
近藤 民代 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (50416400)
楠 綾子 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60531960)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | 移転・復興理論 / 被災沿岸部 / 中部スラウェシ島地震 / 住宅・生活再建 / ハザード・土地利用 / 移転復興計画論 / ハザードマップ / 復興時の土地利用 / 2018年スラウェシ島中部地震 / 2013年台風ハイアン / 被災沿岸地 / 復興ガバナンス / 移転・復興計画論 / 台風ハイアン / 復興土地利用 / スラウェシ島中部地震 / 復興時間枠組み / 復興減災 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、途上国の沿岸部の復興において、よりよい生活環境を創出するために重要な計画内容と実践のあり方について探ることを目的とし、住民移転を伴う復興を進める2013年台風ハイアン被災地(比国レイテ州タクロバン市)と2018年スラウェシ島地震(尼国中部スラウェシ州パル市)の沿岸部を対象として、4年の実施を計画している。両地域での移転・復興過程について、①復興計画策定過程の解明、②事業実施過程の解明、③ 事業実施後の生活空間評価の3点に注目した分析を通して、よりよい生活空間再興のための計画論を構築する。
|
研究実績の概要 |
4年を計画している研究の3年目となる2022年度は、中部スラウェシ(パル市を含む)は震災から4年目を迎えたタイミングで、研究計画での移転フェーズの枠組みでは、「事業計画決定から実施までの、被災後約2年から4年」の段階にあたる。このため、前年度から継続して事業のモニタリングを行うために、2023年2月から3月に現地調査を行った。復興政策、利害関係者の把握、移転を含む各事業の進捗状況などを、ジャカルタやパル周辺地の協力者を通じて把握した。さらに、移転復興理論の検討に必要な情報を補足するため、被災から9年が経過する台風ハイアン被災地(タクロバン市周辺)の住民を対象に、住民の移転と適応状況に関するデータ収集を、インタビューや利害関係者のヒアリングを通じて行った。
結果として、まず、中部スラウェシ州では、再定住計画や復興制度が複数回変更したこと、移転事業が進んでいるにも拘わらず、被災し移転対象となっている沿岸部の住民が引き続き新危険区域に継続して居住する地域の存在が明らかになった。さらに、2022年末には恒久住宅が完成し、仮設住宅は撤去される予定になっているのにも関わらず、移転先が未決定の住民も多くいることも明らかになった。フィリピンタクロバン市では、被災から10年近くが経過し、移転対象となっていた住民はほぼ移転先に住居を構えているものの、被災後から現在までに自発的に建設した沿岸部の建物が未だ残っているコミュニティも散見された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中部スラウェシ被災地では、ジャカルタやパル市周辺地域で復興事業の実施過程を確認し、当初の計画から移転・復興事業関連の制度が複数回変更したほか、震災から4年経過後も危険区域指定地区や仮設住宅から生活再建が出来ない住民も少なくない現状が明らかになった。これら収集した情報から、次年度のフィールドワークの調査設計が進める事ができた。台風ハイアン被災地のタクロバン市周辺地域では、住民の生活再建状況を把握・分析し、移転復興論構築で活用するために、インタビューや利害関係者のヒアリングを通じてデータの収集を行う事ができた。加えて、これの調査の中間成果を、国際学会や英文論文での発表を行うことができたなど、研究は概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度となる2023年度は、中部スラウェシ地域でフィールドワークを行い、危険区域や仮設住宅に住み続ける住民の情報収集やインタビューを行うほか、分析をすすめる。また、補足で収集したタクロバン市の移転・復興事業に関わるインタビューデータの分析も進める。その上で、双方の地域で収集したデータの分析結果を、移転復興理論の策定に組み込む。特に、インドネシアの中部スラウェシ州では、2018年の震災から5年目となっており、復興計画の検討枠組み*では、事業も終了し「事業実施後の生活空間評価」のフェーズに入っていると過程される。しかし、住民の生活の実態は、計画とかけ離れているため、海岸施設や生活空間の評価、また、被災者の復興満足度に関するインタビュー調査を行う。2022年度の現地踏査で明らかになった、危険区域に継続して居住する住民や移転先が決まっていない地区・住民を中心に、インタビュー調査を実施し、情報を集める。復興経年の異なるタクロバン市とパル市の復興の現況に関するインタビューデータの分析終了後、移転・復興計画論の考察をすすめる。
*①被災後に復興方針や計画が策定されるまでの被災時から約2年前後の期間を対象に「A)復興計画策定過程の解明」、②事業計画決定から実施までの、被災後約2年から4年の期間を対象に「B)事業実施過程の解明」、③生活空間再興後と定義する、被災後4年以降の期間を対象に「C)事業実施後の生活空間評価」を検討する。
|