研究課題/領域番号 |
20H02380
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
井上 朝哉 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 主任研究員 (10359127)
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研究分担者 |
鈴木 博善 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00252601)
和田 良太 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20724420)
中川 友進 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 特任研究員 (50513454)
勝井 辰博 神戸大学, 海洋底探査センター, 教授 (80343416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 海洋掘削 / 機械学習 / 掘削データ / ドリルパイプダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
海洋掘削においては,海底下数千mに位置する掘削刃であるドリルビットの挙動が把握できず,どのように掘削しているかを知る術がない.そこには,掘削地層摩擦などドリルビット挙動の決定要素である境界条件が未知であり,また解析の検証方法の欠如という本質的な問題がある. そこで,計測可能な船上掘削機器の作動データを融合した解析により,未知の境界条件を設定してドリルビット挙動の表現を試み,実機検証または実施相当検証を行う.更に,過去の掘削航海データと解析結果を用いて機械学習で創出した識別器を橋渡し的記述として操業への展開を図る.最後に,船上に異常検知や掘削状態識別を行うシステムを構築して実証試験を行う.
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研究実績の概要 |
1. 船上掘削データから掘削地層摩擦特性を推算する手法を構築し,過去の科学掘削の一例を対象に実行した.掘削同時検層データと良い一致を示し,手法の有効性を確認した. 2. ドリルビット接地荷重変動解析やドリルパイプ挙動解析においては,マグナス効果による変形や挙動の模型実験による考察,および模型実験スケールでの数値解析を行った. 3. ドリルビット挙動解析においては,掘削地層の摩擦特性とドリルビットの接地荷重が支配的なパラメータとなる.これらに加えて,影響要素として,ドリルパイプ回転速度や捩じり減衰がある.これらの要素を考慮したドリルビット回転挙動数理モデルを構築し,Stick-Slip発生条件や挙動特性の考察を行った. 4. 機械学習においては,過去の科学掘削航海における取得可能な船上掘削データ,地層サンプルデータ,コア回収率,および掘削操業異常の情報の収集を行った.そして,掘削データを学習データとして,掘削地層やコア回収率を予測する機械学習プログラムを開発し,予測試行を行った.また,掘削データ間の関係性を加味した機械学習による異常検知の試行を実施した. 5. 計測融合解析に向けて,掘削データ取得システムの開発を進めた.搭載対象としている掘削船の掘削制御システムのアクセス仕様確認試験を行い,通信仕様の確認を行った.更に,掘削データのリアルタイム伝送システムのプロトタイプ版の開発,および逐次送信されるデータを受信してリアルタイム掘削データ融合解析の基本インターフェイスの開発を進め,そして,模擬データを用いたリアルタイムでの融合解析の試行を実施した.これにより,データ伝送や逐次解析の健全性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドリルビット挙動解析,リルビット接地荷重変動,およびドリルパイプ挙動解析においては,計画通りに数理モデル化や模型実験を進めており,Stick-Slip発生条件や挙動特性の考察,更には,掘削編成をもとにした解析を行い計画通りの進捗を得ている. 機械学習においても,過去の科学掘削航海における船上掘削データ,地層サンプル情報,コア回収率,および操業異常の情報の取得を進めて,地層予測やコア回収率予測の機械学習プログラムの開発を行い計画通りの進捗を得ている. 一方で,計測融合解析に必要な掘削データ取得システムの開発においては,搭載を想定している掘削船の掘削制御システムに対応する受信プロトコルにてシステム開発が必要となる.そのために,アクセス仕様確認試験を計画していたが,新型コロナウイルス感染症による影響により,当該試験の実施に遅延が生じた.但し,データ受信後の伝送フォーマットの策定や,データ伝送や融合解析システムの開発を開始し,全体として大きな遅延が無いよう進めた.
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今後の研究の推進方策 |
ドリルビット挙動解析,リルビット接地荷重変動,およびドリルパイプ挙動解析は計画通りに進めており,今後は過去の科学掘削のデータを用いた考察や手法の検証を行う.更には機械学習の学習データの組込に向けた検討を進める. 機械学習においては,これまでに収集した過去の科学掘削航海の船上掘削データ,地層サンプル情報,および操業異常情報を用いて,機械学習による地層予測や異常検知のアルゴリズム開発を進める. 計測融合解析に向けて掘削データ受信インターフェイスの開発を進め,既に開発を進めているリアルタイム伝送システム,およびリアルタイム掘削データ融合解析の基本インターフェイスと合わせて融合解析システムを構築する.そして,前述のドリルビット挙動解析や機械学習による地層予測,コア回収率,および異常検知などの逐次融合解析による操業状態把握の試行を行う.なお,船上での試験の日程調整を進めている.
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