研究課題/領域番号 |
20H02384
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早矢仕 晃章 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (80806969)
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研究分担者 |
清水 たくみ 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (30843982)
松島 裕康 滋賀大学, データサイエンス学系, 准教授 (60828888)
深見 嘉明 東京理科大学, 経営学部国際デザイン経営学科, 講師 (70599993)
坂地 泰紀 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (70722809)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | データ流通市場 / データ交換 / 市場ダイナミクス / 制度設計 / マルチエージェントシミュレーション / データエコシステム / IDアーキテクチャ / データ流通エコシステム |
研究開始時の研究の概要 |
異分野のデータを交換・取引するデータ流通市場が次世代イノベーションの源泉として注目される一方、規制に関する議論は未だ決着がついておらず、世界的に市場への参入は慎重である。データ・法規制・ヒトの動的な相互作用の解明とそれに基づくルール作りは喫緊の課題である。 本研究は頑健・安全なデータ流通市場の自律的成長に寄与する要素の創発的作用を解き明かす。そして、データ流通市場の成長段階における制度設計及びその妥当性を評価する。また、データ固有の特徴(複製性、流通性、共有条件、プライバシー)、制度の創発的作用をマルチエージェントシミュレーションにより明らかにし、データ流通市場整備のためのエビデンスを示す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、データ流通市場の健全な発展を目指し、マーケットにおける異種のデータ・法規制・ヒトの動的な相互作用の解明とそれに基づくデータ流通の制度設計である。 2年目となる本年度は、昨年度整理したデータ流通市場の構成要素とその関係性を検討し、市場シミュレータ開発のためのモデル構築に取り組んだ。また、IEEE International Conference on Big Data 2021にて国際ワークショップCross-disciplinary Data Exchange and Collaborationを企画・運営し、国際的なコミュニティ作りにも注力した。 はじめに、(1)行政情報システム研究所で公開しているメタデータサイト及び、(2)データ分析コンペティションサービスKaggleの2つのデータ交換プラットフォームを分析した。(1)では組み合わせによって価値を持つデータのモデル化の手掛かりを得た。(2)では、COVID-19関連データを対象とし、データ公開初期のユーザ行動がコミュニティ形成とデータ利活用を促進することが分かった。 続いて、Kaggleデータセットを昨年度開発したデータ類似性計算手法に適用した。その結果、プラットフォームに依らない構造的特徴の一部が明らかとなった。 これらの解析から得られたデータとユーザの特徴から複数のモデルを作成し、データ生成器とデータ市場シミュレータを試作した。これにより、観測可能な相互作用が限定されるデータ流通市場の理解に向けた次年度の進展が期待できる。 また、近年注目されるIDアーキテクチャの分散化がデータ流通にもたらす影響と効率性を評価するために、分散型と集中型IDアーキテクチャを分析した。今後は、データ流通のインセンティブや導入コストの観点から、マルチエージェントシミュレーションに向けたパラメータを整理と検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、2020年度の調査において得られたデータ流通市場の理解と制度設計に資する諸要素の整理から、データ流通市場の制度設計のためのマルチエージェントシミュレータ開発に向けたモデル化を行うことができた。さらにその過程で、データ流通プラットフォームの特徴に関する新たな知見を得ることができた。また、国内外のコミュニティ作りにも着手し、本研究のメンバーに留まらない発展可能性を得たは本年度の大きな進展である。特に、経済学の研究コミュニティとのディスカッションでは、経済実験の観点からデータ流通市場の理解と制度設計に資する知見を得た。また、実企業とのイベントと講演では、実業界から求められる市場とプラットフォームの機能及びデータ交換スキームについて知見を得ることができた。そして、これらの研究の一部は4報の国際論文雑誌に発表された。以上より、本研究課題は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、2021年度研究にて構築してきたデータ流通市場の構成要素及びそのモデルをもとに、マルチエージェントシミュレーションの基盤を構築する。そして、市場の成長段階を考慮した制度設計を検討する。 その過程で、以下の4つの課題を進めてゆく。 1. IDアーキテクチャの分散化がデータ流通にもたらす影響のシミュレーションと評価を行う。 2. データ・ヒト・分析の協創活動がデータを媒介としたエコシステムに与える影響とその創発的作用を解明し、シミュレーションのパラメータを同定する。 3. メタデータに基づくデータ類似性から、データの関係性のモデルを構築する。 4. 上記1から3の結果に加え、経済実験の手法を援用して得られた実験データを結合し、マルチエージェントシミュレーションの結果を評価する。
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