研究課題/領域番号 |
20H02413
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
能島 暢呂 岐阜大学, 工学部, 教授 (20222200)
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研究分担者 |
久世 益充 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (30397319)
香川 敬生 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50450911)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 地震動分布 / 不確定性 / 分解と合成 / 予測シナリオ / 地震リスク評価 / 津波浸水深分布 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,地震動分布の不確定性を効率的に網羅した多数の予測サンプルを生成する手法,および,地震動分布のばらつきや空間相関を適切に反映した地震リスク評価を行う手法を提案し,多様性を持った適度な数の予測シナリオの構成方法を体系化するものである.まず地震動予測地図を画像として捉え,パターン認識や機械学習の分野で用いられる教師あり・なし学習による「分類・回帰」や「分解・合成」の諸手法を適用する.これにより多数の予測サンプルを生成して地震リスク評価に適用するとともに,予測シナリオの構成方法を体系化する.波及的効果として,地震動予測地図に対する社会の理解の深化と社会のリスク認知力の向上が期待される.
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研究実績の概要 |
まず、直交水平2成分の地震動強度指標に関して、地震動波形の最大値指標 (NS, EW)、幾何平均GM、大きい方の値Larger、軸回転による最大値rot100および中央値rot50の自然対数変換値が従う確率分布モデル化を体系化して、超過確率レベルに基づく指標変換を可能とし、K-NET記録を用いて実データとの適合性を確認した。 次に、水平2成分の地震動分布における空間相関を保持して、2成分の地震動分布を同時シミュレーションする方法を提案した。水平2成分の地震動分布からなる相互共分散行列に特異値分解解析を適用し、両成分で相関が強い空間特性を示すモード形状と各ケースの地震動分布を特徴付ける主成分得点を抽出した。2成分の共分散構造を保持した係数ベクトルで主成分得点を置き換えることで、2成分の相関性を再現した地震動分布のシミュレーションを可能とした。 さらに、「強震動予測のレシピ」に基づく震源パラメータの設定値を拡張し、多数ケースの地震動分布を簡便に生成して、効率よく多様性を持たせるためのパラメータの制御方法を提案した。多数ケースの地震動分布にモード分解とクラスター分析を適用し、モード特性に関する機械学習モデルを構築してモードを支配する震源パラメータを明確化し、その設定値を拡張することによって、多様性を確保するものである。 また、広域の多地点に立地する複数施設群のポートフォリオ・リスク評価の一環として、南海トラフ巨大地震による発電所の同時被災リスク評価を行った。地震・津波のマルチハザード・リスク評価を行うことを前提に、本年度は、地震本部の確率論的津波評価で設定された2720の波源断層モデルによる最大水位上昇量分布の地点間相関を明らかし、機能喪失リスクを試算した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに実施した、①地震動分布の予測サンプルの生成、②地震動分布の分類手法の開発、③地震動分布の分解手法の開発、の成果に基づいて、3年目の2022年度においては、④地震動分布の合成手法の開発、⑤地震リスク評価のケーススタディ、⑥予測シナリオの構成方法の体系化、の3項目を実施した。 「④地震動分布の合成手法の開発」に関しては、まず直交水平2成分の様々な地震動強度指標について、相互の比率の自然対数変換値が従う確率分布モデルを体系化し、確率論的な指標変換を可能とした。さらに、水平2成分の地震動分布に特異値分解解析を適用して、空間相関のモード特性を明らかにし、それらを保持して2成分の地震動分布を同時シミュレーションする方法を提案した(研究実績の概要を参照)。 「⑤地震リスク評価のケーススタディ」に関しては、広域の多地点に立地する複数施設群のポートフォリオ・リスク評価の一環として、南海トラフ巨大地震による発電所の同時被災リスク評価を行った。地震・津波マルチハザード・リスク評価を前提に、本年度は、地震本部の確率論的津波評価で設定された2720の波源断層モデルによる最大水位上昇量分布の地点間相関を明らかし、機能喪失リスクを試算した(研究実績の概要を参照)。 「⑥予測シナリオの構成方法の体系化」に関しては、地震動分布のモード分解とクラスター分析に基づいて、各モードの支配要因となる震源パラメータを明確化し、その設定値を拡張することで、多様性を持たせた地震動分布を効率よく生成する方法を提案した(研究実績の概要を参照)。 コロナ禍の影響により、国際会議への現地参加に関しては一部制約を受けたが、Web環境によりほぼカバーできた。また国内会議には現地参加が可能となり、論文発表も進んだことから、全般的にはおおむね順調に進展したと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の次年度は、本年度までに実施した、①地震動分布の予測サンプルの生成、②地震動分布の分類手法の開発、③地震動分布の分解手法の開発、④:地震動分布の合成手法の開発、の成果に基づいて、下記の⑤~⑥を実施する。 ⑤地震リスク評価のケーススタディ: 項目④までの検討により得られた地震動分布を用いて地震リスク評価を行う。不確定性や空間相関特性を考慮した適正な地震リスク評価の実施可能性を示すことを目的とする。具体的には、面的広がりを持つライフライン・ネットワークの機能喪失リスクや、複数施設群のポートフォリオ・リスクを対象とした地震リスク評価を行い、項目⑥での考察対象とする。なお、本年度の成果を踏まえて、当初の計画に加えて、南海トラフ巨大地震の2720の波源断層モデルを用いて等価震源距離に基づく地震ハザード評価を実施し、地震・津波マルチハザード・リスク評価を行うこととする。 ⑥予測シナリオの構成方法の体系化: 少数シナリオ(多様性が狭小)と多数シナリオ(計算負荷大)の欠点を補うため、適度な数の予測シナリオの構成方法の体系化を図る。南海トラフ巨大地震に関しては、179の震源域モデルに設定された2720の波源断層モデルを用いる方法を採用する。これにより対象地震の不確定性を効率的に網羅した多様性に富む予測シナリオの同定を可能とする。項目①~⑤で得られる予測シナリオと予測サンプルとの関係に「教師あり学習による回帰分析」を適用して因果関係を分析し、適度な数の予測シナリオの同定方法を検討する。具体的には項目⑤の結果を項目①~④にフィードバックし、予測シナリオの再構成を繰り返す。最終的に予測シナリオの構成方法を基準化して体系化する。
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