研究課題/領域番号 |
20H02417
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
多田村 克己 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30236533)
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研究分担者 |
佐村 俊和 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30566617)
福士 将 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50345659)
間普 真吾 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70434321)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | リモートセンシング / 衛星SAR / 自然災害発災検知 / 自動化 / 機械学習 / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク / 敵対的生成ネットワーク / テータベース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する合成開口レーダー(SAR)搭載衛星ALOS-2から得られるデータを利用して,高速・高信頼に自然災害の発災を検知するとともに,それを関係各所に自動発報する世界初のシステム―山口モデル―を構築することを目的とする. 本研究の特徴は,(1)ALOS-2の観測位置に対応する観測データの信頼性情報を創出し,これを自然災害発災の自動検出用識別器の入力データとして適用して信頼性の高い自然災害発災判定を実現,(2)最新の観測データ以外は事前にデータベース化することで,最新データを入手してから自然災害発災の結果出力までの所要時間を最小化,の2点にある.
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研究実績の概要 |
サブテーマごとに説明する.(1)差分データ生成手法開発とデータベース化については,(5)の統合オンライン処理システム構築に合わせて,正常時データのデータベース構築用と緊急観測データからの切り出し用の二種類のプログラムをそれぞれ考案し,プロトタイプを構築して動作を検証した. (2)緊急観測データの高速な加工手法と発災判定結果の高速生成・収集方法の開発については,発災判定の優先順位を予め付与可能とし,その優先順に従い観測データの切り出しから発災判定を行うためのユーザインタフェースを考案し,実装した. (3)自然災害発災識別器開発については,自然災害発生識別器において,高い識別性能を示す深層学習技術が必要だが,その学習に必要な大量のデータを集めることは難しい.そのため,性能を維持しつつ,必要なデータ量の削減手法が望まれる.そこで,高い識別性能を示すVision Transformerに着目し,畳み込み構造からの情報を用いた注意機構の導入により,データ数を抑えた場合も,全データを用いて学習した場合と同程度の識別精度を示すことを報告した. (4)GANを利用した学習用データの生成手法開発については,災害領域識別器の構築に十分で多様な学習用異常データを収集することが困難である場合を想定し,昨年度より着手した正常データのみで学習が可能なGANベースの異常検知モデル(Efficient GAN)に対し,SAR画像のみならず,標高と土地利用データを複合することで性能評価指標AUCの向上を確認した. (5)統合オンライン処理システム構築については,緊急観測データの格納URLを記した電子メール受信した後,(2)のユーザインタフェースにより指定された発災判定優先順に従い発災判定を行い,システム利用者に判定結果を可視化表示する統合オンラインシステムのプロトタイプを開発し,その有用性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的にはおおむね当初の計画通りに進捗している. 最終目標である統合オンライン処理システム構築における主要な開発要素である,正常時データのデータベース構築用サブシステムと緊急観測データの処理のための緊急時用サブシステムの設計とそれに基づくプロトタイプ開発を完了した.特に,緊急時用サブシステムに関しては,申請時点では構想に入っていなかったシステム利用者の注目している地点から効率よく発災判定を実施するための仕組みを構築することで,実用面で当初の期待以上の成果を得られると考えている. その一方で,学習済みの自然災害発災識別器の性能評価とそれに基づく改善手法が未確立である点に課題が残っている.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には,今年度に引き続きサブテーマ間の連携を取りながら推進する.本研究課題で推進した独自性の高いテーマである,レーダーシャドウ領域およびレイオーバー領域の抽出手法の開発については,計算速度の課題を克服する手法の考案を推進する.また,統合オンライン処理システムはプロトタイプは完成させたが,実用性を高めるための改良が必要である.特に性能面で順次処理での動作であるため,主要な処理部分の並列化の実現可能性とその効果について検討し,高速化の見込める処理については並列処理に切り替える.自然災害発災識別器の開発については,GANを有効活用したとしても自然災害の実データが極めて少ない事が識別器の性能評価に大きく影響しており,残された期間でこの問題の解決法を検討する.
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