研究課題/領域番号 |
20H02505
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉岡 朋久 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (50284162)
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研究分担者 |
中川 敬三 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 准教授 (60423555)
新谷 卓司 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | 膜分離 / ナノろ過 / 逆浸透 / セラミック / キレート配位子 / チタニア / ジルコニア / セラミック膜 / 有機溶剤分離 / 有機キレート配位子 / 分子シミュレーション / ガス分離 |
研究開始時の研究の概要 |
蒸留法に比べて省エネルギーである,有機溶剤分子混合物の膜分離(超ろ過)法に応用可能な,機械的強度と耐溶剤性を有する新規な複合セラミック膜を開発する.有機キレート分子をTiおよびZr元素に配位させたTiO2とZrO2の複合酸化物膜をゾル-ゲル法により作製し,この有機キレート分子を製膜過程で部分的に除去することにより,金属酸化物中に分離場となる大きさが制御されたサブナノサイズの空隙を形成させる.分子シミュレーションを併用することにより,多孔性無機膜の細孔構造と液体分子の透過/阻止現象の関係を明らかとすることを通じて,超ろ過現象の実証とその基本学理を明らかとする.
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研究成果の概要 |
有機キレート剤(OCL)を用いることで,有機溶剤逆浸透性能を有するTiO2-ZrO2複合膜の作製に成功した.分子サイズや構造が異なるOCLを用い,製膜条件によって,膜の細孔径および溶剤分子との相互作用制御を行った.TiO2-ZrO2-OCL膜は,メタノール/トルエンの混合液の分離において,優れたメタノール透過選択性を示した.数種類の有機溶剤の透過実験から,溶剤粘度,溶剤分子占有面積に加えて,膜-溶剤分子間相互作用が透過性に影響を及ぼすことが示唆された.膜と溶剤分子の表面自由エネルギー差を透過に必要な活性化エネルギーとみなす新たな透過モデルを提案し,実験結果との良好な一致が見られた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
低分子量の有機溶剤分子の液体混合物を相変化することなく「ろ過」できるのかという学術的な問いに対して,多孔性の分離膜を介することで可能であることを明らかとした.その際の選択透過成分の透過性の発現機構に寄与する,分子篩性,膜との親和性,および分離対象分子の物性などに関する知見が得られた.一方,有機溶剤分子混合液体の精製は,蒸発潜熱を必要とする蒸留法によって行われため,一般にエネルギー消費の大きいプロセスである.本研究で開発したセラミックをベースとする多孔性分離膜を用いることで,蒸留法に替わって抜本的な省エネルギー化に繋がる,究極的には気化を伴わない理想的な分離操作の可能性が示された.
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