研究課題/領域番号 |
20H02585
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 敬宏 京都大学, 高等研究院, 特定准教授 (80423060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 1分子観察 / 超解像観察 / 細胞膜 / アクチン膜骨格 / 閉じ込め効果 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜のアクチン膜骨格による仕切りが、細胞膜分子の拡散運動や会合/集合を制御し、シグナル伝達の足場として働くことは概念として広く受け入れられつつある。しかしながら、仕切りのサイズが従来の光学分解能より小さいこと、また、その中での細胞膜分子の拡散が非常に速いことから、従来の測定技術ではその過程を空間的/時間的に分解することは困難であった。本研究ではその技術的限界を打破し、仕切りを超解像観察しながらその中での分子反応の素過程を1分子直接観察することにより、生体内の分子反応を本質的に制御していると考えられてきた「閉じ込め効果」の研究とその原理の理解を飛躍的に加速する。
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研究成果の概要 |
分子反応を本質的に制御している「閉じ込め効果」の生体内での直接測定はこれまで極めて困難であった。本研究では、その技術的限界を打破するため、細胞膜上の1蛍光分子の究極速度での1分子運動観察を目指した。超高感度・超高速カメラの開発と、蛍光色素の選定により、最速3万コマ/秒 (ビデオ速度、30コマ/秒の1,000倍) での撮影と、アクチン膜骨格の仕切りに抑制を受けた運動 (ホップ拡散) の1分子直接観察に成功した。超解像PALM/dSTORM観察と組み合わせた測定により、細胞の足としてはたらく接着斑の機能制御に、接着斑の群島構造と、アクチン膜骨格の仕切りによる足場が重要な役割を果たすことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
(1) 本研究で開発した超高感度・超高速カメラにより、現在、1分子観察用途で最も利用されているsCMOSカメラの10倍以上の高速観察が可能となり、生体内の「閉じ込め効果」の原理の理解と、それによる細胞内シグナル制御の研究の進展に大きく寄与することが期待される。 (2) 開発したカメラを応用した超解像PALM/dSTORM観察では、1画像あたり従来5分以上かかっていた撮像時間を10秒程度まで短縮できた。この技術により、従来の理解とは大きく異なる接着斑の微細構造と動態が明らかになりつつあり、今後、生細胞中の様々な微細構造の超解像レベルの動態と機能の研究において重要な貢献を果たすことが期待される。
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