研究課題/領域番号 |
20H02588
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28050:ナノマイクロシステム関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪股 直生 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40712823)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | マイクロ温度センサ / 細胞 / MEMS / 微細加工技術 / 温度信号 / 微小温度センサ / 温度モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
温度は生命の維持や細胞の機能発現に不可欠であるにも関わらず,それらと密接に関わりのある細胞の熱物性や熱機能の詳細は未だに明らかになっていない.計測対象は培養状態の細胞である一方,液体環境は熱損失が大きくなるため,液体(細胞培養)と,低熱損失環境が求められる高感度・分解能温度センサは本来相いれない.本研究では,微細加工技術によって作製した高感度温度センサと細胞培養-真空断熱系を組みあわせることで,高温度分解能(数u℃)かつ高応答性(サブミリ秒)を有し,培養細胞を計測対象とする温度センサデバイス・システムを実現する.単一の培養細胞からの温度信号をもとに,細胞の温度応答と伝熱機構を定量的に解明する.
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研究実績の概要 |
温度は生体内や細胞内機能発現のトリガーとして様々な生理機能や生体リズムに影響を与え,生体の恒常性維持と密接な関わりがある.そのため,生体にとって温度は最も重要なパラメータのひとつである.しかし,温度は生命の維持や細胞の機能発現に不可欠であるにも関わらず,それらと密接に関わりのある細胞の熱物性や熱機能の詳細は未だに明らかになっていない.近年,細胞の熱物性は,水では近似できないこと,内部の温度分布が一様ではないこと等,様々な知見が得られている.本研究では,高温度分解能(数u℃)かつ高応答性(サブミリ秒)を有し,培養細胞を計測対象とする温度センサデバイス・システムの実現を通して,細胞自身が発する温度信号や細胞の温度挙動を定量的に計測することを目指し,細胞の温度特性と細胞内伝熱機構を解明する.本年度の実績概要は次の通りである.
【デバイス上での細胞培養】:一般的な細胞の信号計測で行われている市販の培養用シャーレ上で細胞培養プロトコルをもとに,デバイス上での細胞培養プロトコルを検討し,デバイス上でも細胞の培養が可能であることを実際に確認した. 【細胞の温度信号計測】:作製したデバイスを用いた細胞の温度計測に取り組んだ.最終的に,低温,室温,最適温,高温の各温度帯域における培養細胞群中の単一の細胞から自発的に得られる温度信号を計測し,解析を行った.さらに,培養細胞に対して,顕微鏡上の対物レンズを介して,局所的に赤外線レーザを照射し,外部刺激としての加熱が可能であることを確認した. 【温度センサの高感度化】:共振センサにおける温度センシングの高感度化を目指し,周期性微小構造体の選択的振動伝搬特性を活かした共振センサの振動スペクトルの能動的コントールに関する研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
細胞の温度信号計測に関して,低温(20℃以下),室温(25℃付近),最適温(37℃付近),高温(40℃以上)の各温度帯域における培養細胞群中の単一の細胞から自発的に得られる温度信号を計測し,解析を行ったところ,想定を上回る結果を得ることができ,更に発展的な実験,研究構想に繋げることができるため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,デバイス上での細胞培養と作製したデバイスを用いた細胞の温度信号計測を達成し,予定通りに研究が進めることができ,得られた実験結果は計画以上のものであった.最終年度である次年度は以下の通り計画する.
【細胞の温度信号計測】:引き続き,作製したデバイスを用いた細胞の温度計測に取り組む.最終的に,室温(25℃付近),最適温(37℃付近),高温(40℃以上)の各温度帯域における①培養細胞群中の単一の細胞から自発的に得られる温度信号と②外部熱入力における温度信号を計測し,①と②を比較する.更に,計測数を得て,細胞の熱物性を定量的に評価する.
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