研究課題/領域番号 |
20H02597
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28050:ナノマイクロシステム関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金 賢徹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70514107)
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研究分担者 |
加藤 大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80533190)
小島 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356985)
山村 昌平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50432141)
中村 史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員教授 (40357661)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 微粒子 / 電気化学発光 / マーカー分子検出 / 電極 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
細胞と同サイズ程度でお椀(カップ)形状の電極の窪み部分に細胞を捕捉し、細胞表面のマーカー分子を電気化学発光計測により超高感度検出する新規技術を用いて、血中循環がん細胞など、多数の細胞の中に存在する特定の標的細胞を選択的かつ高感度に検出するための、基盤技術開発を行う。具体的には、標的細胞を選択的に標識する新規プローブの開発など、標的細胞表面マーカー分子を検出する技術の改良を行った上で、血中循環がん細胞検出をモデルケースとして想定した実証試験を推進する。
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研究実績の概要 |
本研究では具体的に(1)電気化学発光(ECL)計測による標的細胞表面マーカー分子検出技術の改良、(2)血中循環がん細胞検出をモデルケースとした標的細胞の検出実証の2つの課題を設定している。具体的な計測手順は、以下のとおりである。標的マーカー分子を発現している細胞に対して、ルテニウム錯体などECLプローブを修飾した抗体を作用させた後、細胞と同直径程度のカップ形状微小電極に捕捉し、溶媒中にトリプロピルアミンなどのECL共反応物を添加し電圧を印加する。細胞表面にECLプローブ修飾抗体が結合している場合、ECLプローブが電極近傍に存在することからECLが生じるため、発光によりマーカー分子発現細胞を特定できる。第3年度の成果は以下のとおりである。課題(1)、(2)を通じて、これまでにECLプローブの改良、抗体へのプローブ修飾条件の検討、計測対象の細胞前処理方法の検討などを行ってきたが、診断を見据えたより実用的な計測技術とするためには、大量の細胞を効率的に計測する改良の実施が必要不可欠である。これまではポリスチレン粒子を鋳型としたカップ形状微小電極を用いた評価を行ってきたが、実用化を見据えて、計測チップデザインの改良に着手した。CDと同サイズ程度のポリカーボネート基板に対して、微細加工技術により細胞と同直径程度の半球状窪みを多数設置し、その上からアンバランスドマグネトロンスパッタ法によりナノカーボン電極薄膜を所望のパターンで作製した。モデル細胞は予め表面にECLプローブを修飾しておき、作製した新規電極に細胞懸濁液を滴下することで、細胞を窪みに一斉に捕捉した。電圧を印加した結果、細胞からECLが生じること、整然と配置された多数の細胞を迅速に計測可能であることを確認した。以上のように、第3年度はチップデザインの改良により診断用途を見据えた技術改良に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究第3年度は、診断用途を見据えてチップデザインの改良を行い、ECL計測による標的細胞の検出に成功した。最終的なゴールである実用化橋渡しを見据えた場合に大きな前進であると考えており、そのため研究は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究第3年度は、チップデザインの改良を重点的に行った。最終年度となる研究第4年度は、新規チップに適したECLプローブの改良、細胞前処理法の継続した検討、ECL計測の高感度化を推進することで、これまで検出が難しかった標的細胞の高感度検出実現を目指す。
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