研究課題/領域番号 |
20H02599
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 貴史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60828846)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
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キーワード | スピントロニクス / 核スピン / 機械振動 / 格子振動 / フォノン / スピンゼーベック効果 / マグノン |
研究開始時の研究の概要 |
スピントロニクス分野は、二量子間のコヒーレント結合(強結合)を扱う量子物理系分野と融合され、新たなステージに突入しつつある。しかしながら、従来の電子スピンでは、その高い共鳴周波数がボトルネックとなり、力学系・機械振動系とのコヒーレント結合を実現することができなかった。本研究では、この状況を原子核スピンの集団歳差運動「核スピン波」を導入することで打開する。この励起状態は、格子系と強く結合し且つ、共鳴周波数をマクロサイズの機械共振器の振動周波数まで低くできる稀有な状態である。この核スピン波状態を利用して、スピン-力学運動間の角運動量・エネルギー変換に基づく物性工学を開拓する。
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研究成果の概要 |
本研究では、機械振動子・マイクロバー素子などを舞台に、高周波を入力として生じるマクロな力学運動やスピン励起・スピン流生成、及びその逆効果の開拓を行った。さらに、微小振動子の共振周波数に迫る低周波特性をもつ核スピンも取り入れた新しい学術の端緒を見出すことを目指した。本研究を通じて、核スピンからスピン流を生み出す現象「核スピンゼーベック効果」やスピン流を入力として機械振動を引き起こす現象「スピン流体積効果」等の実証に成功した。また、磁性体材料の元素置換に基づくマグノン-フォノン間のコヒーレント結合のチューニングなどにも成功し、意義深い研究成果を挙げることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、原子核スピン(核スピン)からスピン流を生成したり或いは、逆にスピン流から機械振動を引き起こすという新しいタイプの物理現象群が開拓された。今後本研究で見出した手法を利用することで、核スピントロニクス分野やスピンメカニクス分野の発展及び学理構築が実現されていくと期待される。また本研究により、これまで利用が難しかった核スピンのもつ角運動量を超微細相互作用によって取り出すことが可能であることが見出された。これにより本研究課題の最終目標である、核スピンのもつ角運動量の相互変換効果に基づく新しい科学技術の創生に向けた進展が得られたといえる。
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