研究課題/領域番号 |
20H02603
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 名古屋大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
岡本 佳比古 東京大学, 物性研究所, 教授 (90435636)
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研究分担者 |
山川 洋一 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60750312)
山影 相 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90750290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 熱電変換 / ディラック電子 / 低次元電子系 / 新材料開拓 / 熱電冷却 / 一次元電子系 / エネルギー変換 / ディラック電子系 |
研究開始時の研究の概要 |
一次元ディラック電子系物質Ta4SiTe4の巨大熱電応答を活用することにより、革新的な高性能を示す熱電変換材料を開発する。本物質が室温以下で巨大なゼーベック係数を示すことにとって、一次元性の強い電子バンドがフェルミ準位で交差した「一次元ディラック電子系」と呼べる状況が重要と考えられるが、詳細は不明である。系統的に組成制御したバルク試料の合成、単結晶試料を用いた物性測定と理論構築、同様の状況を実現する新物質の開拓により、Bi2Te3系の実用材料と比べて高性能・低温動作可能な新材料を確立する。我々の身の回りの温度差を用いた環境発電や、これまで未踏の-100℃以下における局所冷却の実用化に貢献する。
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研究成果の概要 |
一次元ディラック電子系物質Ta4SiTe4の巨大熱電応答を活用することにより、高性能な熱電変換材料の開発を目指した。合成された単結晶試料を用いた反射率測定により0.1 eV程度ととても小さいエネルギーギャップと数倍程度の光学伝導度の異方性の存在が明らかになり、高い熱電変換性能と電子状態の相関が明らかになった。また、実用材料として不可欠な同族元素との固溶にも成功した。Ta4SiTe4と同様の電子状態の特徴をもつと予想される物質の新規開拓により、Ti置換したTa2Ni3Te5が室温で125 μV K-1と、金属的な電気伝導を示す物質としては大きなゼーベック係数を示すことを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究においてTa4SiTe4の太さ数100 μmの単結晶が初めて得られたことにより、本物質の反射率やホール抵抗を初めて測定することができた。これにより本物質系において「穏やかな一次元性をもつディラック電子系」の電子状態が巨大な熱電応答をもたらしていることを実験的に示せた。これは新たな低温用材料設計指針であり、熱電変換の分野にとって意義をもつ。実際本研究では、この指針に従って物質探索を行うことにより、有望な新材料候補Ta2Ni3Te5を見出した。今後、化学組成の制御により大幅な性能向上が期待される。
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