研究課題/領域番号 |
20H02604
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
片山 尚幸 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50623758)
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研究分担者 |
山内 徹 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (10422445)
齋藤 晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (50292280)
太田 幸則 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (70168954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 量体化 / 短距離秩序 / ダイナミクス / 局所構造解析 / 放射光X線 / 柔粘性結晶 / 放射光X線回折 / 局所揺らぎ / 自己組織化 / 格子ダイナミクス / 強相関電子 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では申請者が二次元三角格子系LiVS2で最近見出した、柔粘性結晶相発現の背景物理の解明と、同様の性質を示す新たな物質系の開発を目指す。LiVS2は314 K以下でバナジウム三量体化を伴う金属-非磁性絶縁体転移を示す。高温常磁性相では、バナジウムがジグザグ状の短距離秩序を形成しており、このジグザグ鎖の形成パターンが時間・空間的にゆっくりと変動する。ジグザグ鎖のパターンは3種類存在し、これらの配向はすべて異なることから、この格子ダイナミクスは無機化合物で実現した柔粘性結晶状態と定義される。同様の『無機柔粘性結晶』の新たな候補物質の開発を通じて、その発現メカニズムを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
無機柔粘性結晶としての性質を示す新たな候補材料開発において大きな進展があった。スピネル化合物のLiRh2O4に着目し、放射光X線と中性子を相補的に用いた回折実験を行った。この物質は、約220 KでBand Jahn-Teller転移を示し、構造が立方晶から正方晶に変化した後、170 Kで金属絶縁体転移を示し、低温相は直方晶となることが報告されている。低温相においては電荷秩序を伴う量体化が期待され、中間温度相と高温相において柔粘性結晶的な格子ダイナミクスが期待される。我々は、放射光X線回折による平均構造解析と局所構造解析、中性子PDFによる局所構造解析を行い、得られたデータを対称性の議論をもとに整理することで、低温相における電荷秩序・量体化パターンが、有名なマグネタイトのVerwey転移を説明するために理論予想された「Anderson条件」と全く同じパターンを実現していることを明らかにした。また、この低温相の構造をベースとした放射光X線PDF解析により、中間温度相と高温相において無機柔粘性結晶を示唆すると思われる格子の低対称化が現れていることを明らかにした。以上の結果は、申請者を責任著者としてPhysical Review Bにletterとして掲載された。他にも本年度の活動の成果として、RuPやLiVSe2など、新たな候補物質を対象とした放射光X線構造研究が順調であり、柔粘性結晶候補物質となりうると期待している。以上のように、候補物質開拓には大きな成果が得られており、最終年度に向けて順調に研究が進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、候補物質の開拓という点においては期待以上の成果が得られたと考えている。一方で、LiVS2については、単結晶試料の育成には成功したものの、柔粘性結晶状態の示す格子ダイナミクスを定量的に同定するには至っておらず、最終年度に持ち越しとなった。以上の結果を踏まえて、(2) おおむね順調に進展している。が妥当であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に明らかにした柔粘性結晶候補物質については、その特性や揺らぎの詳細を構造解析や物性測定などにより多角的に検証することで明らかにしていきたい。最終年度となることから、得られた成果については積極的に論文化を進め、本研究のまとめとする。LiVS2については、周波数依存性を伝導性から明らかにするなど、残された研究目的を実施することを目指す。
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