研究課題/領域番号 |
20H02629
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29030:応用物理一般関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上杉 祐貴 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60780682)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 電子レンズ / 球面収差補正 / ポンデロモーティブポテンシャル / Kapitza-Dirac効果 / ベクトル光ビーム / 電子顕微鏡 / フェムト秒レーザー / ポンデロモーティブ力 / レーザー / 誘導コンプトン散乱 / 走査型電子顕微鏡 / ベクトルビーム |
研究開始時の研究の概要 |
原子一つ一つを分解して観察することができる最先端の電子顕微鏡では,電子ビーム収束用のレンズの球面収差を補正することが極めて重要である.しかし,従来の電界・磁界を用いる収差補正器は,構造が複雑で高価であるために一部の電子顕微鏡にしか導入されてこなかった. 本提案研究では,Kapitza-Dirac 効果として知られるレーザー定在波と電子ビームの相互作用を利用することで,電界・磁界を用いない,レーザー光を用いた全く新しい電子顕微鏡用レンズを提案する. レーザー定在波を利用することで,軸対称な簡単な形状のレンズで球面収差補正を行うことができ,汎用の電子顕微鏡にも原子分解能性能を提供できると期待される.
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研究成果の概要 |
円対称なレーザー定在波を使った電子ビームの球面収差補正に関する研究を行った。数値計算により強く集光したベクトル光ビームが負の球面収差をもつ電子レンズとして作用することを示した。また、レンズ特性の詳細を幾何光学にもとづいて解析した。当初は光共振器を用いた連続動作の実証実験系を構想していたが、研究中にパルス動作する電子レンズ系の重要性を認識するに至った。そこでパルス動作の実験系の開発に取り組んだ。研究期間中に原理実証まで至らなかったが、先行する国外グループと差別化された独自の実験系を構築できた。関連する研究として、新規パルスレーザー蓄積装置とビーム成形を駆使したレーザー加工技術を実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電子顕微鏡技術とレーザー技術の融合は当該分野における最先端の研究テーマである。本研究において、レーザーで電子顕微鏡用のレンズを実現できること、およびそれが球面収差補正に利用できる特異な性質を有することを世界に先駆けて示すことができた。本研究期間中に欧州のグループがレーザーによる電子レンズ作用の実証に初めて成功し、本研究者らがそれに追随する状況である。レーザーを駆使した新しい電子顕微鏡の要素技術が期待通りの性能を示せば、今後四半世紀の間に、原子分解能をもった顕微鏡装置が世界中の研究室で手軽に利用できるようになると期待される。
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