研究課題/領域番号 |
20H02634
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山路 晃広 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (20779722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 有機結晶 / シンチレータ / 中性子 / 高速中性子 / 結晶成長 |
研究開始時の研究の概要 |
中性子検出用途の有機シンチレータ結晶を研究開発する。今後の中性子利用では数ナノ秒以下の速い蛍光寿命が求められている。有機結晶では数ナノ秒以下の蛍光寿命を有するものがあり、高速応答が実現可能である。また、中性子の検出効率が高く、高速中性子でも検出も可能である。更に、飛行時間法を考えた時には時間分解能200ps以下にできる可能性がある。有機結晶シンチレータの発光量、蛍光寿命、立ち上がり時間、α/γ比などの特性が何に起因するかを明らかにするため、結晶構造・位置を系統的に変化させた結晶を育成し、その発光原理であるπ結合のまわりの電場構造の変化と発光波長・蛍光寿命などの関連を系統的に調べる。
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研究実績の概要 |
本研究は中性子検出用途の有機シンチレータ結晶の研究開発を目的としている。有機シンチレータ結晶の発光をつかさどるπ結合を含み、π電子回りの結晶場(配位子場)の系統的な変化をみるために、母材の一部を置換した混合結晶も含め候補材料の結晶育成及びそのシンチレーション特性評価を進めた。本年度は、新規中性子シンチレータ結晶の探索を行った。これまでの研究で、良好なシンチレーション特性を示したカルバゾールのNH基を置換したジベンゾフラン等を新規中性子シンチレータとして探索した。また、発光量とπ電子数密度の相関に着目し、π電子数密度が6.0x10^22を上回るピレンやトリフェニレンについても、結晶育成及び特性評価を実施した。育成にはこれまでと同様、Self-seeding vertical Bridgeman (SSVB)法を用いて行い、結晶ごとに温度勾配、育成速度、アンプル形状等の育成条件を最適化し、クラックの少ない透明なバルク体結晶の育成に成功した。また、融解前に分解する候補材料について、溶液成長を用いて結晶育成を試み、透明なバルク体の作製に成功した。さらに、大口径の結晶育成の為に新規に育成炉を準備し、結晶探索の効率化を図った。結晶性評価は引き続きロッキンカーブを測定やFTIRを用いて行い、育成条件にフィードバックした。また、京都大学研究用原子炉(KUR)の重水中性子照射設備にて有望な材料について、中性子フラックスを照射し、シンチレーション評価及び中性子耐性評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、結晶育成に関しては予定通りπ電子を有する有機結晶を系統的に作製し、そのシンチレーション特性評価を遂行することができた。一部の結晶について、予測していた特性が得られないものがあったが、その要因についても判明してきており、順調に研究は進められている。遅れていた外部実験についても、本年度は実行できて、中性子照射による放射線耐性や特性評価を進めた。一方、研究成果の論文化については、成果の整理が予定より遅れているために来年度の早期に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き候補材料の結晶育成及びそのシンチレーション特性評価を進める。有望材料については、大口径化を行い、イメージング試験に向けた結晶のアレイ化を進める。また、TOFによるエネルギー測定を行う際に、大きな指標となるとなる時間分解能についても評価を実施する。中性子とバックグラウンドノイズとなりうるγ線による信号波形の弁別について行い、検出器用途に向けた結晶アレイを作製する。溶液成長にようる結晶育成についても大型化の検討を行う予定である。
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