研究課題/領域番号 |
20H02656
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下間 靖彦 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40378807)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | レーザー / 結晶 / 欠陥 / 量子 / スピン / 量子センサ / ダイヤモンド |
研究開始時の研究の概要 |
ダイヤモンド結晶中の不純物窒素と隣接する空孔により形成されるNV中心は、室温で単一光子発生が可能、優れたスピンコヒーレンス特性を持つため、量子コンピュータや量子センサへの応用が期待されている。NV中心の形成技術として、ダイヤモンド結晶の合成中に形成する方法、ダイヤモンド結晶にイオンビーム、電子線等を照射して、意図的に形成する方法が用いられているものの、NV中心形成の位置制御が不可能、大型の光源利用等の課題がある。本研究では、時間波形整形した超短パルスレーザーの照射によって、NV中心をはじめとした各種不純物原子と空孔により形成される複合欠陥を高濃度・高品質に形成するための欠陥形成技術を構築する。
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研究成果の概要 |
時間波形整形した超短パルスレーザーの照射によって、ダイヤモンド結晶中の不純物窒素と隣接する空孔により構成されるNV中心の形成技術を開発した。照射レーザー条件の最適化により、量子センサ応用に必要とされる10の15乗 /cm3以上のNV中心濃度を達成し、スピンコヒーレンス時間についても、レーザー照射前後でほぼ同じ値(約2マイクロ秒)を達成した。さらにNV中心形成とグラファイト化のダイナミックス観測のための光学系を構築し、NV中心形成やグラファイト化に至る以前のレーザー照射中の透過率の揺らぎが確率論的に起こる現象を左右している可能性を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ダイヤモンドNV中心量子センサは、その電子スピン三重項状態を利用することで、従来技術では達成が困難な超微弱な信号を検出できることから、幅広い分野への応用が期待されている。しかし、その超高感度がゆえに、現在の作製プロセスでは、結晶構造の歪みや損傷等による影響により、スピン状態の読み出しプロトコルの最適化が不可欠であった。本研究では、レーザー照射のみによる簡便な手法で室温動作が可能なダイヤモンドNV中心を高濃度に形成可能であること、スピンコヒーレンス時間の劣化がないことを実証した。本研究成果は、ダイヤモンドNV中心の量子センサプラットフォームとしての社会実装の基盤技術であると確信している。
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