研究課題/領域番号 |
20H02661
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50510129)
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研究分担者 |
秋山 英二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70231834)
波多野 雄治 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80218487)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 中性子照射 / 陽電子消滅 / 3次元アトムプローブ / 原子炉圧力容器鋼 / 照射欠陥 / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄-クロム系フェライト鋼は、現行軽水炉のみならず次世代炉や核融合炉でも期待される材料である。これら炉での実使用環境では、材料には照射欠陥に加えて水素も導入される。照射欠陥と水素とは強く相互作用するため、照射組織の形成やそれによる照射劣化に対する水素の影響が指摘されてきたが、詳しいことは分かっていない。本研究では、高温・水素雰囲気での中性子照射方法を開発することにより、中性子照射と水素導入・蓄積との重畳効果を調べ、照射劣化や照射組織の形成・発達に対する水素効果を明らかにしようとする。これにより、フェライト鋼の信頼性向上に寄与することを目指す。
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研究成果の概要 |
フェライト鋼における中性子照射効果に対する水素の効果を調べた。フェライト組織を含む鋼材であるA533B鋼(原子炉圧力容器鋼として代表的な鋼材)を真空中または水素環境下で中性子照射したのち、照射欠陥(原子空孔クラスター)の形成と成長、溶質原子の拡散挙動と固溶限濃度に対する水素の効果を調べた。溶質原子としては、原子炉圧力容器鋼で重要な銅とした。照射欠陥の形成と成長では、水素環境下で中性子照射された場合は照射欠陥の成長が抑制される可能性が示唆された。一方、溶質原子の拡散・固溶では、水素の効果はほとんど見られなかった。これは、空孔ー水素の結合に因るものと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フェライト鋼は最重要の原子力材料の一つであり、中性子照射による材料特性劣化や水素脆化が盛んに研究されているが、照射と水素との重畳効果を調べた研究例は多くない。本研究では、同一試料を真空中または水素環境下で中性子照射し、照射欠陥や溶質原子の挙動に対する水素効果を調べた。また、水素環境下での中性子照射を行うための照射装置を開発した。以上により、照射・水素の重畳効果研究の端緒となる結果を報告したとともに、今後さらなる照射・水素研究を進展させる素地を整えることができた。今後、金研大洗センターの共同利用照射を通して幅広い原子力材料研究に利用されることが見込まれる。
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