研究課題
基盤研究(B)
金属クラスターを導電性材料、磁性材料、双極子材料などへと応用するためには、金属クラスターをある程度の大きさまで集積させる必要がある。本研究では、配位子保護金属クラスターを対象に、配位子構造と連結構造の相関、及び連結構造体の物性と機能を明らかにする。本研究が実現すれば、配位子保護金属クラスターを利用できる材料分野が広がり、今よりも一段高いレベルにて、配位子保護金属クラスターの基礎及び応用研究を展開することが可能になると期待される。
本研究では、チオラート(SR)保護Au4Pt2合金クラスター([Au4Pt2(SR)8]0)について、次の4つを明らかにした;1) Au4Pt2合金クラスターは、Au-Au結合を介した一次元(1D)連結構造体の構成単位となり得る金属クラスターである。2)いずれのAu4Pt2合金クラスターも類似した幾何構造を有しているが、クラスター内での配位子間相互作用は官能基構造に依存して異なっており、このことも関係して、配位子の広がり方も官能基構造に依存して異なっている。3)配位子の広がり方の違いに起因して、クラスター間での配位子間相互作用が変化し、それにより、1D連結構造の形成有無や連結構造が変化する。
金属クラスターは、その電気伝導性や磁気特性を活かしたデバイスとしての応用が期待されている。しかしながら、金属クラスターをデバイスへと応用するためには、金属クラスターをある程度の大きさまで連結させる必要がある。本研究では、配位子保護金属クラスターからなる1次元連結構造体の形成においては、クラスタ-内の配位子間相互作用を制御することが非常に重要であるという概念を生み出した。本研究にて得られた知見により、今後は、配位子保護金属クラスターよりなる集積構造体の制御、さらに、その特質を活かした材料創製が飛躍的に加速すると期待される。
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