研究課題/領域番号 |
20H02710
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
櫻井 庸明 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 講師 (50632907)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | ESIPT / 液晶 / 蛍光 / ドーパント / 偏光発光 / ASE / 励起状態 / 発光ドーパント / 無輻射失活 / ポテンシャルエネルギー / 励起状態分子内プロトン移動 / 励起状態計算 / 電場配向 / 異方発光 |
研究開始時の研究の概要 |
汎用的な液晶ディスプレイ技術が確立された現在でも、液晶を用いた新しい電子デバイスの開拓余地は残されている。特に、光吸収/発光性の色素を液晶にドープしたホスト-ゲスト型液晶材料はその外場応答性と協同し、さまざまな機能を発現できる可能性がある。 本研究では、発光ゲストに求められる重要な性質である、①ホスト液晶への高い混和性、②ホスト液晶中での高い可視域発光効率、③それ自体は色を持たないこと、④自己吸収が少ないこと、⑤ドープ量を上昇しても濃度消光を起こさないこと、の全てを満たす材料を、実験・計算的手法を統合し、合理設計し、自発光性ディスプレイ、偏光発光フィルム、液晶レーザー、等の応用に取り組む。
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研究成果の概要 |
本研究では、励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)型蛍光体と呼ばれる有機蛍光化合物に関して、その「非着色/可視域発光性・高い混和性・非濃度消光」という特徴に注目し、液晶中への蛍光ドーパントとしての高い適正を見出した。ESIPT化合物で問題視されていた、溶液中(~液晶を含む流動媒質中)での低い蛍光量子収率(Φ)という課題の克服が必要であったが、共役置換基の導入が流動媒質中でのΦの向上に効果的であることを発見し、これを量子化学計算により理由付けした。本研究で開発したESIPT化合物をドープした室温液晶は、偏光発光性や電場応答性の自発増幅光(ASE)など、新しい液晶光学素子の可能性を提示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでESIPT型蛍光体は固体状態でのみ効率よく発光する材料という認識であったが、研究代表者の今回の取り組みによって、適切な置換基導入を施せば、溶媒中や液晶中でも高い蛍光量子収率を示すことが可能であることが明らかとなった。これにより、非着色・可視域発光する有機材料のレパートリーが大きく増大することが考えられ、有機発光材料の研究分野の広がりを促進する学術的意義があると考えられる。また、非着色・可視域発光という特徴を活かし、環境光下では目立たないが紫外光で照らした際だけ色が見えるような表示素子としての応用が考えられ、将来的にこのような素子の実装の可能性も示すことができたと考えられる。
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