研究課題/領域番号 |
20H02720
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 和範 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (40403696)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
|
キーワード | 超原子価 / 塩素 / 臭素 / 安定化 / 酸化 / ハロゲン / 電気化学 / 電解 |
研究開始時の研究の概要 |
まず、初年度の検討で、酸素、窒素、フッ素などヘテロ原子置換基をもつ超原子価臭素および塩素化合物が合成可能と期待される。翌年度以降は合成に成功した、それらの化合物を用いた酸化反応を中心に検討する。また、ヘテロ原子置換基は炭素置換基と交換でき、それにより更に求電子剤としての適用も広く可能になるため、その検討も研究期間の後期では精力的に探索する。これらの試薬でしか実現できない反応は少なくないため、本研究は単純に効率の良い合成手法を提供するだけでなく、従来合成できなかった分子や不安定活性種の創製も可能になり、創薬、機能性分子合成、構造有機化学、理論化学など他の自然科学分野へ寄与すると期待される。
|
研究成果の概要 |
現代有機化学の様々な局面で汎用される超原子価有機ヨウ素化合物とは対照的に、同族の超原子価有機臭素および塩素化合物は、実用的な合成法が無く、長い間その性質はほとんど謎に包まれていた。本研究では新たな超原子価臭素および塩素化合物の合成法を確立するべく、分子構造、溶媒系、酸化手法について広く検討を行ってきた。特に最後の酸化手法に関して、電解酸化を中心に精査する過程で、幾つかの重要な知見が見いだされた。例えば、これまで有機臭素化合物の酸化に用いることが難しかった強力な酸化剤、たとえばXeF2を適切な条件下、置換ブロモアレーンに作用させると、効率よく超原子価臭素化合物を合成できることが判明した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた成果は、いまだ不明な点の多い超原子価臭素・塩素の化学を切り拓くための重要な発見を含んでいる。具体的には、入手が難しく危険を伴う三フッ化臭素などの前駆体の使用が必須であった超原子価臭素・塩素化合物の合成を容易に実現できるようになり、また、環状構造の導入により安定性を付与することで、多種多様な誘導体化が可能になった。これにより同族のヨウ素類縁体との直接の性質の比較が可能になり、周期律表の同族元素間のうち、最後まで明らかにされていなかったハロゲン族元素の超原子価化合物に眠っている特徴や法則を解明できることが最大の成果である。
|