研究課題/領域番号 |
20H02725
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高瀬 雅祥 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (90516121)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 含窒素グラフェン / 曲面π電子系 / 芳香族性 / ピロール / キラリティー / 芳香族 / 反芳香族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ピロールを基軸とするこれまでの合成化学的な知見に基づき、主に三つの次元性を有する含窒素ナノカーボンの創出とその特殊構造に起因する機能開拓を行う。(1)様々な「曲面構造」を有する含窒素ナノカーボンの構築、(2)様々な「電子状態」を有する含窒素ナノカーボンの構築、(3)様々な「キラリティー」を有する含窒素ナノカーボンの構築。ピロールを基軸とする事から、従来の炭化水素系類縁体と比べて、かたち・π電子機能発現の点で独自の研究展開が期待される。期間内に標的化合物の合成・物性解明(構造、光学、酸化還元、芳香族性など)を行い、新しい次元性を有する含窒素ナノカーボンの基礎科学を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ピロールを基軸とするこれまでの合成化学的な知見に基づき、主に三つの次元性を有する含窒素ナノカーボンの創出とその特殊構造に起因する機能 開拓を行っている。(1)様々な「曲面構造」を有する含窒素ナノカーボンの構築:関連する研究成果を1報報告した。ビシクロ[2.2.2]オクタジエンで架橋したHPHAC二量体の合成に成功した。二つのHPHACで挟まれた三次元空間の芳香族性について、実験・計算的検証を行った結果、増大されていることを明らかにした。(2)様々な「電子状態」を有する含窒素ナノカーボンの構築:関連する研究成果を1報報告した。既報のHPHACの部分開環体を用い、カルボニル・チオカルボニル架橋したホモHPHACの合成に成功した。一般に酸化還元によって実現される「芳香族」⇔「反芳香族」の物性転換を、化合物内に導入した官能基の極性制御で実現することを目的とした。様々な溶媒やルイス酸との相互作用、芳香族性について評価を行い、メチル化することで明確な反芳香族性の発現が示された。(3)様々な「キラリティー」を有する含窒素ナノカーボンの構築:ヘキサピロリルベンゼンの隣接する二つのピロールをインドールに置き換え、酸化的渡環反応を行うことで、ヘリセン構造を有するπ共役系化合物の合成に成功した。キラルカラムを用いて光学分割にも成功し、円二色性吸収スペクトル円偏光発光スペクトルの観測にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の研究実績の概要欄に記述した以外にも、一連の合成研究の中で得られた成果を1報報告することが出来た。さらに、現在までにコアとなるデータが得ら れ、原稿執筆に向けて最終的なデータ収集を行っている課題もある。申請当初の合成計画よりも早く研究が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「曲面構造」を有する含窒素ナノカーボンの構築に関して、合成に成功し、その結晶構造解析にも成功しているものの、その電子状態の解明にまで至っていないために論文報告できていない研究成果がある。そのため本年度はその基礎物性評価に力を入れたいと考えている。また同様に、「キラリティー」を有する含窒素 ナノカーボンの構築についても、静的な吸収・発光スペクトル測定までは終えているものの、構造的特徴を主張する上で重要なダイナミクス解析が出来ていない 研究成果があるため、本年度は光物性の評価を進めていく予定である。
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