研究課題/領域番号 |
20H02726
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
酒巻 大輔 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60722741)
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研究分担者 |
藤原 秀紀 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70290898)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 有機ラジカル / 動的共有結合 / 二量化 / 芳香族アミン / フェロセン / 電子ドナー / 配位結合 / 自己組織化 / 安定ラジカル / ジシアノメチルラジカル / アザアセン / πダイマー |
研究開始時の研究の概要 |
可逆な二量化―解離反応に基づいた動的共有結合性ラジカルユニットの開発をおこなう。ラジカルスピンの非局在化度合いをコントロールすることによって、σ結合による二量体の結合強度の幅広いレンジでの変調と、その極限として二量化様式をσ二量化からπ二量化へと変化させる分子設計指針の構築を目指す。また、σ二量化、π二量化それぞれの二量化様式を駆動力とする自己組織化集合体を構築し特異な機能・物性の発現を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き,電子ドナー性π電子骨格へジシアノメチルラジカルを導入した新規ラジカルの合成とその動的共有結合性を検討した。本年度における主な成果は以下の通りである。1)電子ドナー基であるフェロセンに2つのジシアノメチルラジカルを導入したラジカルの合成を目指した研究を行った。前年度の検討から、無置換のフェロセンに2つの4-ジシアノメチルフェニルラジカルを導入したジラジカルは極めて難溶性の生成物を与えた。そのため、本年度は可用性置換基として2つの4-アルキルフェニル基を導入したジラジカルの合成を試みた。フェロセンの2つのシクロペンタジエニル環に2つずつの置換基導入した場合、2種類のジアステレオマーと1種類のメソ体という3種類の異性体が生じ、一般にその分離には困難が伴う。一方、今回の系では溶解性の差によって合成中間体のラセミ体混合物とメソ体の分離に成功した。また、ラセミ体はそれぞれのエナンチオマーが自然分晶することを見出した。単離したメソ体を用いてラジカル前駆体の合成に成功し、これを酸化したところ、環化生成物と思われる生成物を得ることに成功した。今後、X線結晶解析によってこの生成物の構造を決定し、動的共有結合性についての検討を行う。 2)動的共有結合性ラジカルに配位結合能を付与することを目的として、以前に報告したトリフェニルアミン置換ジシアノメチルラジカルのフェニル基の1つをピリジル基に置き換えた新規ラジカルの合成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であった可溶性置換基を導入したフェロセンジラジカル前駆体の合成に成功した。また、キラルカラムを用いずにラセミ体とメソ体を分割する手法を見出すことができた。これにより、キラルカラムによる分割を行うことに比べて、生成物の大幅なスケールアップと分割に要する時間を短縮に成功した。得られたラジカル前駆体からジラジカルの発生を行い、自己組織化による環化生成物と思われる生成物を得ることにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
可溶性フェロセンジラジカルの環化体と思われる生成物について、X線単結晶解析による構造決定を行う。また、核磁気共鳴、電子スピン共鳴、電子吸収スペクトルの温度変化から、環状多量体の動的挙動を明らかにする。加えて、現在並行して遂行中である配位結合部位を有するジシアノメチルラジカル置換芳香族アミンの動的挙動および錯形成挙動をまとめ、論文として報告する。
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