研究課題
基盤研究(B)
フタロシアニンは平面環状の2次元π共役構造をもつ化合物であり、様々な機能性を有するため基礎・応用の両面から精力的に研究されている。本研究では、通常のフタロシアニン系化合物には見られない3次元らせん構造をもつフタロシアニン系化合物の合成化学・配位化学を追求し、未知の機能性を開拓することを目的とする。学理の追求を目指した1)新規誘導体の合成、2)多彩な金属錯体の合成、機能性開拓を目指した3)円偏光発光(CPL) 特性の向上、4)半導体特性の評価、5)不斉触媒の評価、を中心に研究を展開する。
3次元らせん構造をもつフタロシアニン系化合物および関連するπ電子系化合物に関して種々研究をおこなった。1)らせん構造の末端ピリジンユニットにキラルな置換基を導入した化合物において、その右巻き・左巻きのらせん構造の割合が溶媒によって容易に変化し、キロプティカル特性をスイッチ可能であることを見出した。R の絶対配置をもつ 1-ジクロロフルオロフェニルエトキシ基が連結したらせん化合物は、亜鉛錯体では溶媒の種類にかかわらず右巻きらせん構造の存在割合が多くなるが、無金属体ではトルエンやエタノールなどの溶液中では右巻きらせん構造の存在が多くなり、クロロホルムやテトラヒドロフランなどの溶媒中では右巻き構造と左巻き構造が同程度存在することが円二色性(CD)スペクトルの解析から判明した。2)末端ピリジンユニットをキノリンユニットに置き換えたイソインドリンユニット:ピリジンユニット:キノリンユニット=2:1:2 で構成されるπ骨格が拡張されたらせん化合物とらせん構造の中心のピリジンユニットをベンゼンユニットに置き換えたイソインドリンユニット:ベンゼンユニット:ピリジンユニット=2:1:2 のらせん化合物を合成し、分子構造、電子構造、光学特性をキャラクタライズした。どちらの化合物もこれまで開発した化合物と同様に溶液中フレキシブルならせん構造をとることが明らかとなった。ベンゼンユニットをもつらせん化合物の亜鉛錯体はこれまでのフタロシアニン系らせん化合物よりも少ない量のキラルゲストによってキラル認識することが可能になった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 2件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 7件) 図書 (1件)
Chemistry -A European Journal
巻: 30 号: 29
10.1002/chem.202400401
Angewandte Chemie International Edition
巻: 62 号: 11
10.1002/anie.202218358
Journal of Porphyrins and Phthalocyanines
巻: 27 号: 01n04 ページ: 423-433
10.1142/s1088424623500116
巻: 27 号: 01n04 ページ: 184-189
10.1142/s1088424622500791
The Journal of Chemical Physics
巻: 157 号: 10 ページ: 104302-104302
10.1063/5.0102087
Bulletin of the Chemical Society of Japan
巻: 95 号: 10 ページ: 1428-1437
10.1246/bcsj.20220195
Chemistry Letters
巻: 51 号: 7 ページ: 754-755
10.1246/cl.220197
Nature
巻: 603 号: 7903 ページ: 829-834
10.1038/s41586-022-04401-0
Science
巻: 373(6550) 号: 6550 ページ: 95-98
10.1126/science.abg8790
Journal of the American Chemical Society
巻: 143 号: 25 ページ: 9461-9467
10.1021/jacs.1c02624
Organic Letters
巻: 23 号: 22 ページ: 8678-8682
10.1021/acs.orglett.1c02983
巻: 61 号: 6 ページ: 1-10
10.1002/anie.202115316
巻: 94 号: 3 ページ: 872-878
10.1246/bcsj.20200336
130008021849