研究課題/領域番号 |
20H02733
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
芝原 文利 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60362175)
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研究分担者 |
武藤 雄一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (50453676)
植村 一広 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60386638)
坂田 健 東邦大学, 薬学部, 教授 (90328922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | カルベン配位子 / πアクセプター性 / 縮環型含窒素複素環カルベン / 触媒反応 / 置換基効果 / 触媒開発 / 含窒素複素環カルベン / 高受容性配位子 / 受容性カルベン / π酸性触媒 / 配位子 / 受容性制御 / 遷移金属触媒反応 |
研究開始時の研究の概要 |
イミダゾ[1,5-a]ピリジンから導かれる含窒素複素環カルベン(IPC)は縮環構造によりカルベン受容性軌道と縮環芳香環のπ*軌道の重なりにより、特異な受容性を獲得することが明らかになってきており、また、構造の特徴から、これらのチューニングが容易であることもわかってきている。そこで、本研究では、これらの特徴を活かした新規触媒反応開発と特徴を発展させた新型IPCの開発をめざす。
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研究実績の概要 |
イミダゾ[1,5-a]ピリジンを母骨格とする含窒素複素環カルベン(NHC)の特異な電子的特性に注目して研究を進めた。以前からの検討で、すでに計算化学のモデル上ではこのカルベン炭素が他のNHCと違い有意な受容性を示すことが予想されていた。該当年度の研究期間中には、特にこれら性質を実験化学的な手法で明らかにするために、種々の遷移金属触媒反応の配位子に利用してその活性の変化に注目した。この様な配位子を使った場合には、遷移金属のπ酸性が向上することが予想される。そこで、特に反応機構が明らかであり、そのような触媒で活性が顕著に向上すると考えられる、溝呂木ーヘック反応やアルキンの水素化反応に利用し、イミダゾピリジンカルベンの電子的性質と触媒反応の活性の相関を調査した。結果として、フリーカルベン状態のアクセプター性軌道のエネルギー準位の値と、触媒反応の活性は有意な相関が見られ、興味深いことに、イミダゾ[1,5-a]ピリジン環の1位に導入した置換基の電子的な影響もラショナルかつ顕著に反応性に影響する程度の影響があることが明らかになった。また、いずれの場合も従来型NHCと比較して顕著な触媒活性の向上が確認され、アクセプター性を保つカルベ ン配位子としての利用が適切な用途であることが示された。これらは計算化学でも配位挿入段階の活性化エネルギーが同様の順列になっていることが分かった。一方、同じく計算化学によるパラジウム錯体の分子軌道の見積から、1位に中性~電子求引性の置換基を導入した場合には従来型NHCでは見られなかったパラジウムから配位子への逆供与の寄与が確認された。一方で、強い電子供与性の置換基を導入した場合にはこの逆供与が亡くなることが分かったため、実際にそのような錯体の合成を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化合物の合成は達成できているが、本学の質量分析装置が不調のため特に錯体の質量分析が思うように進まず、研究の進度がやや遅れることになっている。
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今後の研究の推進方策 |
電子供与性置換基を持つカルベン配位子による触媒反応を検討し、これら置換基効果をまとめた論文を作成する。また、遅れている質量分析を他大学の装置利用も含めて検討する。
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