研究課題/領域番号 |
20H02736
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中 寛史 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70431517)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
|
キーワード | 水移動型反応 / 水和反応 / 脱水反応 / イリジウム / 触媒 / ニトリル / アミド / パラジウム / ルテニウム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,水 (H2O) の供与体を用いた形式的な不飽和有機物質の水和反応「水移動型水和反応」に対する理解を深め,これを活用した有機合成手法の開発を目的に研究を展開する.ニトリルとアミドの触媒的な相互変換反応について,その合成化学的な価値を明確にし,触媒を再設計することで反応の効率と官能基選択性を改善する.さらに新たな水移動型反応を開発することで合成化学の進展に貢献する.
|
研究実績の概要 |
イリジウム錯体触媒とジクロロアセトニトリルを用いた第一級アミドの水移動型脱水反応を開発した。ニトリルを求電子的に活性化する触媒としてイリジウム錯体に着目し、メシチルカルボキシレート配位子を有するペンタメチルシクロペンタジエニル (Cp*) イリジウム錯体を合成し、その構造をX線構造解析等により決定した。この錯体は、ジクロロアセトニトリルと水の混合溶媒中、室温付近の温和な反応条件で、第一級アミドの水移動型脱水反応を促進した。この反応は脂肪族および芳香族アミドを効率的に脱水し、対応するニトリル体へと変換した。また本反応はアミノ酸由来のアミドの脱水に対しても適用可能であった。さらに、以前報告されたパラジウム触媒系とは異なり、このイリジウム触媒はカルボキシ基やスルフィドなどの配位性官能基を有するアミド基質に対しても有効に作用することがわかった。 加えて種々の反応機構解析実験を行った。標識実験において、重酸素で標識したアミド基質を脱水したところ、副生成物として重酸素を有するジクロロアセトアミドが得られた。このことから、本反応ではアミド基質のカルボニル酸素がジクロロアセトニトリルに移動していることがわかった。ReactIRを用いた反応追跡実験によって、アミド基質、ジクロロアセトニトリルおよびイリジウム錯体の反応次数がそれぞれ一次であることがわかった。このことから、単核イリジウム錯体上に配位したニトリルに対するアミドの付加を経る機構で反応が進行することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたイリジウム触媒によるアミドの脱水反応の開発を概ね完了させることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
イリジウム触媒によるアミドの脱水に加え、パラジウム触媒によるアミノニトリルの水和とルテニウム錯体によるアミドの脱水を論文化する。次年度は主にプラチナ錯体によるニトリルの水和に焦点をあてる。
|