配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
研究実績の概要 |
ヒドロシランを還元剤として用いる二酸化炭素のヒドロシリル化を経由して、二酸化炭素に対してC-H結合形成反応とC-C結合形成反応を連続的に進行させて有用な化合物群を合成するとともに、その反応機構を研究した。トリフェニルボランとフェニルシランは、二酸化炭素の還元に適した触媒活性種(ボロヒドリド中間体)を発生する。この触媒システムを用いると、1-メチルインドールなどの電子豊富な芳香環のメチレン架橋反応が進行することを発見し論文発表している。これを踏まえて本年度は、この反応の条件を詳しく精査した。検討の結果、興味深いことに、二酸化炭素(風船)雰囲気下、アセトニトリル中40℃で1-メチルインドールにフェニルシランとトリフェニルボランを作用させると、5,11-ジメチルインドロ[3,2-b]カルバゾールが主生成物として得られた。2分子の二酸化炭素が脱酸素的に変換されてベンゼン骨格の形成に使われている。一方、溶媒を酢酸エチルに変更すると、5,11,17-トリメチル-5,6,11,12,17,18-ヘキサヒドロシクロノナ[1,2-b:4,5-b':7,8-b'']トリインドールが選択的に得られた。3分子の二酸化炭素が脱酸素的に変換されて9員環のシクロファン骨格の形成に使われている。さらに、二酸化炭素(風船)雰囲気下、アセトニトリル中でジメチルフェニルシランを用いると、1-メチルインドールからトリス(1-メチル-3-インドリル)メタンが高収率で得られた。このようにヒドロシランや溶媒の種類を変えるだけで異なる4種類の生成物を選択的に合成できることが判明した。二酸化炭素の還元に伴って発生するギ酸シリルエステルやビス(シリル)アセタールと1-メチルインドールが反応して、1-メチル-3-メチリデン-3H-インドリウム中間体を経由しながら多成分連結反応が進行していると考えられる。
|