研究課題/領域番号 |
20H02793
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桑折 道済 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80512376)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
|
キーワード | 構造色 / ポリドーパミン / メラニン / 高分子微粒子 / 共役系制御 / メラニン前駆体高分子 / 共役長制御 / メラニン化 / コアーシェル粒子 / ポリマーブラシ / チロシナーゼ / 日焼け / ポリチロシン / 色材 |
研究開始時の研究の概要 |
微細な周期構造に由来する構造色は,退色がなく独特の光沢を有することから,次世代型の色材として期待されている。本研究では,応募者が独自に行ってきた人工メラニン粒子を用いる構造色材料の研究知見を発展させ,外部刺激によって視認性の高い構造色を発現する技術を確立し,構造色による高解像度な印刷技術を開発する。これらの研究を通して,構造色を基盤とする色材開発の学理と技術革新に貢献することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
微細な周期構造に由来する構造色は、退色がなく独特の光沢を有することから、次世代型の色材として期待されている。我々はこれまで、自然界での構造発色メカニズムから創発し、ポリドーパミンを用いる人工メラニン粒子による構造色材料の開発を行ってきた。本研究では、これらの知見をもとに、外部刺激によって視認性の高い構造色を発現する基盤技術を確立し、構造色による印刷技術を開発する。これらの研究を通して、構造色を基盤とする色材開発の学理と技術革新に貢献することを目的とする。 前年度までに、ポリドーパミンに変えて、メラニン前駆体高分子となるポリチロシンを被覆した新たなコア-シェル型粒子を作製した。光吸収能を持たないメラニン前駆体粒子で作成したペレット材料は乳白色のペレット材料となった一方で、メラニン前駆体粒子を溶媒に分散し、UV光を照射後にペレット材料を作成したところ、光照射時間が増加するに従ってシェル層の共役系が伸長し、発現する構造色の視認性の向上に成功した。一方で、共役系の伸長には、粒子を溶媒に分散した状態での処理が必要であるという課題も残った。本年度はこの課題を克服するために、ポリマーブラシ型のメラニン前駆体粒子を新たに設計し、固体状態での共役系の伸長と構造色の可視化を検討した。ドーパミン部位を側鎖に有するポリマーブラシをコア粒子表面に構築したコア-シェル粒子を集積してペレット材料を作成し、アンモニアガス蒸気を暴露したところ、暴露時間に応じてキノン化や架橋反応が進行すること共役系の伸長、つまりメラニン化が確認された。結果として、固体状態での構造色の可視化制御を達成することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ドーパミン部位を側鎖に有するポリマーブラシをコア粒子表面に構築したメラニン前駆体粒子を作製し、アルカリ処理によって、共役系制御に基づく構造色の視認性の制御に成功した。固体状態での粒子集積構造体への外部刺激によって構造色の可視性を制御できる新たな知見を得ることができ、おおむね当初の計画通りに研究が推移していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は高分子側鎖にドーパミン骨格を有するポリマーブラシ型のメラニン前駆体高分子を用いて、固体状態での共役系制御に成功した一方で、粒子の分散性と可視化には時間を要することが新たな課題となった。次年度は、粒子の分散性を維持した状態でより高速な構造色の可視化を目的として、新たな骨格のポリマーブラシ型のメラニン前駆体を新たに設計/合成する。側鎖型のメラニン前駆体高分子で被覆した粒子に、光照射もしくは酵素反応による共役系の制御を行うことで、構造色の視認性制御を検討する。
|