研究課題
基盤研究(B)
表面電位は界面機能を支配する重要な因子のひとつである。その指標としてゼータ電位が一般的に用いられるが、溶媒・イオンが浸透するソフト界面では厳密にはゼータ電位が定義できない。本研究課題では、高分子の精密重合を利用して系統的に構造制御したモデル界面を調製し、界面導電現象の解析と実際の表面構造の対応を調査することで、高分子ソフト界面の表面電位の正確な理解を目指す。イオン性のソフト界面を正確に理解することにより、その応用として抗菌性表面の設計指針につながると期待される。
表面電位は界面機能を支配する重要な因子のひとつである。本研究課題では、高分子の精密重合を利用して系統的に構造制御したモデル界面を調製し、界面導電現象の解析と実際の表面構造の対応に基づいて、高分子ソフト界面の表面電位の正確な理解を目指す。さらに、高分子ソフト界面における分子間相互作用との関係を解析することで生体材料の設計指針を得ることを目指すものである。本年度は高分子ソフト界面における分子間相互作用として昨年度までのタンパク質に加えてバクテリアとの相互作用解析を進めた。これまでに構造制御された4級アンモニウム塩を側鎖にもつカチオン性ポリマーブラシを合成しバクテリアとの相互作用を解析したところ、高密度なカチオン性ポリマーブラシ表面で効果的な殺菌が見られている。界面のグラフト高分子構造とバクテリアとの相互作用の関係が明らかになれば、殺菌性に関わる要素を明らかにすることにつながると考えられる。そこで、吸着した物質の質量と粘弾性を計測可能なエネルギー散逸型水晶振動子マイクロバランス (QCM-D)を用いてカチオン性ポリマーブラシとバクテリアの相互作用解析を行った。高密度なポリマーブラシでは低密度なポリマーブラシに比較してバクテリア培養初期に強く相互作用することが示された。これは、高密度なポリマーブラシにおいて高い殺菌性が得られた要因であると考えられる。以上のように、精密な高分子材料合成とQCM-D解析から電荷を持つ高分子ソフト界面とバクテリアにおける相互作用と界面構造の影響を定量的に解析することができた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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