研究課題/領域番号 |
20H02820
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 高広 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10358260)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 極性金属間化合物 / ジントル化合物 / 熱電材料 / ラットリング / 超伝導 / ノーダルライン半金属 / 金属間化合物 / トポロジカル物質 / 熱電特性 / 結晶構造 / 熱伝導率 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では結晶構造の中に1次元または2次元的な大きな低次元空間が存在し,その中で原子がラットリングと呼ばれる巨大な振幅振動状態を示す金属化合物を対象として,「開いた異方的な空間における原子のラットリング状態と,それによって低減される熱伝導率を含む熱電特性」を詳細に調べます.これらを,閉じた等方的な空間内で原子がラットリングする化合物と比較しながら,開いた異方的空間内の原子のラットリング現象の特徴とメカニズムを明らかにするともに,その現象を最大限に活用することで,熱を電気エネルギーに直接変換できる新しい熱電材料を創出することを目指します.
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研究成果の概要 |
革新的な熱電材料の創出を目指し,低次元空間内にゲスト原子を内包した結晶構造を有する極性金属間化合物を合成し,熱・電気的特性を評価した.トンネル空間にNa原子鎖を内包した化合物が極めて低い熱伝導率と高い熱電特性を示し,Na原子のトンネル伸長方向に沿ったラットリングや,Na原子間距離が近い化合物ほど格子熱伝導率が低下することが実験と計算により明らかにされた.これにより,ラットリング原子の近接が熱伝導を担う骨格構造のフォノンの非調和性を増大させ,格子熱伝導率を低下させる機構が明らかになった.さらに,特異な電子状態や基底状態を低温で示す化合物など,数多くの化合物を発見し,それらの特性を明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
トンネル構造化合物におけるゲスト原子の異方的なラットリングと,ラットリング原子の近接によって熱伝導率が低減するメカニズムが発見・解明されたことは,学術的に大きな意義があり,従来のカゴ状構造化合物における孤立したラットリング原子では生じない現象である.今後,熱エネルギーの有効利用に必要な熱電材料の開発の新たな指針になることが期待される.また,2次元構造化合物のNaAl(Si, Ge)では,高品位な単結晶を用いて種々の低温物性を計測することで,それぞれが特異な基底状態や電子状態を有することが明らかになった.これらは,現在注目されているノーダルライン半金属の電子物性の解明に大きく寄与する成果である.
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