研究課題/領域番号 |
20H02836
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中村 暢文 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60313293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 発電装置 / イオン液体 / 下限臨界溶解温度 / 再生可能エネルギー / 熱電変換 / 二次電池 |
研究開始時の研究の概要 |
イオン液体-水混合系には、高温では二層で、低温では一層になる下限臨界溶解温度(LCST)型の相挙動を示すものがある。LCST型の変化は僅かな温度変化で起こり、系中に溶解した無機塩の濃度変化をもたらす。この挙動を利用し、塩濃度差により発電する混合エントロピー電池(MEB)を我々が発明した。本研究の目的は、ある種のイオン液体-水混合系がLCST型の相挙動を示す要因を実験的に整理すること、および、この混合系を電解質とするMEBの出力向上である。まず、水とLCST型の相挙動を示すイオン液体を作製し、それらの相挙動を調べる。その中でMEBに最適な混合溶液を用いて、高出力化を試みる。
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研究成果の概要 |
下限臨界溶解温度(LCST)挙動を示すイオン液体(IL)を利用した混合エントロピー電池(MEB)の出力向上に取り組んだ。まずはLiイオンを構成要素とするILでLCST挙動を示すものを見出した。このLi-tetrabutylphosphonium phthalate(Li[P4444][PA]) / NaCl水溶液系 (P4-NaCl system)でLi+やCl-の活量変化による発電に成功した。P4-NaCl systemでは、相転移時の Li+の濃度変化が小さかったため、添加する無機塩にKClを用いたP4-KCl systemを採用した。このMEBの獲得電力はさらに大きくなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究によりLCST挙動を示すための要因や無機塩添加によってLCSTがどのように変化するかの基礎的な知見を得ることができた。また、Liイオンを含むイオン液体でLCSTを示すものを世界で初めて見出した。これらのことは学術的に価値がある。さらにこのILを用いて、従来のLCST-MEBをしのぐ出力が得られることを見出した。このことは、これまでに再生可能エネルギーの平準化に用いられてきたレドックスフロー電池を上回る新しいデバイスを作製できる可能性を示唆しており、社会的にも大変意義深いと考える。
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