研究課題/領域番号 |
20H02864
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
建石 寿枝 甲南大学, 先端生命工学研究所, 准教授 (20593495)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
|
キーワード | 核酸構造 / 擬似細胞内環境 / 相分離 / 定量的解析 / 神経変性疾患 / 細胞モデル系 / 細胞模倣実験系 / リピートRNA / 細胞内環境評価系 / 液滴 / 熱力学的解析 / 細胞内分子環境評価系 |
研究開始時の研究の概要 |
液滴は細胞内の環境によって、形成、消失を繰り返し、細胞内の重要な反応を促進または抑制する効果をもつ。近年、神経変性疾患の細胞毒性を示すペプチドやタンパク質などが細胞内で液滴を形成することが見出され、疾患と関連性が注目されている。本研究では、疾患の進行に伴う細胞内の環境変化が核酸の構造に及ぼす影響に注目し、液滴の関わる生体反応の新たな調節機構の解明と、その知見を活用した生体反応制御技術の開発を目指す。
|
研究成果の概要 |
神経変性疾患の細胞内で形成される液滴には、リピート配列をもつRNAやペプチドが含まれる。この液滴は、細胞毒性を示す場合があるが詳細な液滴形成機構は解明されていなかった。本研究では、細胞の分子環境を再現した細胞モデル系を構築し、細胞内環境が核酸の構造や液滴形成に及ぼす影響を解析した。その結果、液滴の形成には、核酸の四重らせん構造形成が重要であることが示された。さらに、四重らせん構造は周辺の環境によって、安定性を変化させ、液滴の形成を加速させることが示された。つまり、疾患の進行に伴う細胞内の環境変化が、核酸の構造を変化させ、液滴の形成を制御している可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
核酸の構造は、周辺環境に応答して変化し、遺伝子発現に関わる反応の変異を誘起させる可能性がある。本研究では、核酸の構造が生命現象を制御する機能をもつことを示す一例として、神経変性疾患に関わるRNA構造に焦点をあてた。その結果、細胞毒性に関わる液滴形成を制御する核酸構造を特定することができた。本知見は、細胞毒性を示す凝集体形成を阻害する化合物の合理的な分子設計に有効である。 さらに、本研究で構築した細胞モデル系は、核酸相互作用だけでなく、実細胞内での薬剤と解析対象分子の結合性評価等も簡便に行うことができる。そのため、医療、診断、創薬など実社会に貢献する幅広い応用分野への研究展開が期待される。
|