研究課題/領域番号 |
20H02889
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松本 真悟 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (00346371)
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研究分担者 |
小野 圭介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (20549555)
須田 碧海 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (20789573)
小葉田 亨 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (60186723)
小林 和広 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (90234814)
赤羽 幾子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (90530569)
森野 和子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 主任研究員 (30355573)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | ヒ素 / コメ / 温暖化 / 高温 / TGC / 低ヒ素変異体 / 高ヒ素変異体 / コシヒカリ / 主茎1本仕立て / 水管理 / 中干し / 気温 / 品種 / 無機ヒ素 / DMA / ケイ酸 / 鉄 / 高温登熟障害 / 土壌改良材 |
研究開始時の研究の概要 |
日本人の無機ヒ素摂取量の約60%がコメ由来であり,早急に高温によるコメのヒ素濃度上昇機構の解明と低減対策を立てる必要がある.ヒ素は篩管を通じてコメに蓄積されることが報告されているが,子実のデンプン蓄積とヒ素蓄積との関係はほとんど明らかにされていない.本研究では,高温によるコメの無機ヒ素濃度上昇機構について,ヒ素の1.土壌での可溶化,2.根による吸収,3.地上部への転流・移行,4.節での隔離,5.穂の蒸散,6.デンプン蓄積とヒ素蓄積の関係の6つの過程を解析し,高温によるコメのヒ素蓄積リスク予測モデルを構築するとともに,それに基づく高温下のコメのヒ素濃度低減のための栽培・育種戦略を提言したい.
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研究実績の概要 |
2022年に島根大学生物資源科学部本庄総合農場内で主茎1本仕立てによるヒ素吸収反応の品種間差異を検討した.試験規模はパイプ(直径;4cm、長さ;20cm、容積;約300ml)である。供試土壌は島根大学生物資源科学部附属生物資源教育センター農業生産科学部門本庄総合農場内の水田土壌(以下、沖積)を4mmの篩にて篩別した後に、摺切りとなるように土を充填した。出穂1週間後にTGCに搬入しで行った。 玄米ヒ素濃度において全ての調査項目で品種間に0.1%水準で有意な差が認められた。分解液中の総ヒ素(Total As)とSum As、無機ヒ素ともに共変量の気温では日平均気温、昼間気温、日最高気温に0.1%水準で有意な正の直線関係が認められた。品種について、コシヒカリは0.70mg/㎏、Las-3は0.40mg/㎏(58)、Has-7は3.07mg/㎏(438)であった。温度帯について、露地は1.23mg/㎏、微高温は1.32mg/㎏(107)、高温は1.46mg/㎏(119)、超高温は1.56mg/㎏(127)であった。抽出液中の合計ヒ素(Sum As)は品種について、コシヒカリは0.65mg/㎏、Las-3は0.37mg/㎏(57)、Has-7は2.88mg/㎏(440)であった。温度帯について、露地は1.12mg/㎏、微高温は1.19mg/㎏(106)、高温は1.39mg/㎏(124)、超高温は1.50mg/㎏(133)であった。無機ヒ素(i-As)は、品種について、コシヒカリは0.44mg/㎏、Las-3は0.31mg/㎏(69)、Has-7は2.69mg/㎏(608)であった。温度帯について、露地は0.99mg/㎏、微高温は1.04mg/㎏(106)、高温は1.24mg/㎏(125)、超高温は1.32mg/㎏(134)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの3年間でポット,圃場および温度傾斜型チャンバーでの実験により,水稲のヒ素吸収反応と出穂後の気温に有意な正の相関関係があることを示してきており,本年度はそのメカニズムの解析へと進展できた.コシヒカリ,コシヒカリの高ヒ素変異体および低ヒ素を用いた比較により玄米へのヒ素の流入に関して登熟歩合との関連を明らかにすることが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
今後はコメのヒ素蓄積における温度との関係をモデル化するために,以下の実験を行う. 1.穂培養法ータと登熟期の温度(24~32℃)との関係をモデル化する.また、止め葉節上下の茎中ヒ素濃度から止め葉節における穂へのヒ素移行の抑制,さらに 高温による変化を明らかにし,本モデルにおける培養液から穂に移行するまでのヒ素濃度変化をモデルに組み込む. 2. 高温により玄米中のヒ素濃度は有意に増加するが,子実へのヒ素取り込み量(ヒ素量/穂)が高温によってもほとんど変化しなかったことから,登熟初期の水 分移行がヒ素取り込みに関与している可能性があり,子実の水分変化とヒ素取り込み量との関係のモデル化を試みる.登熟期の子実の水分量とヒ素の取り込み量 を登熟期の温度(24~32℃)の下で時系列に測定する.
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