研究課題/領域番号 |
20H02895
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 敬悦 東北大学, 農学研究科, 教授 (50312624)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 糸状菌 / 細胞壁 / 多糖 / 菌糸 / 接着 / cell wall / polysaccharide / filamentous fungi / α-1,3-glucan / galactosaminogalactan / 界面活性タンパク質 / 自己組織化 |
研究開始時の研究の概要 |
糸状菌には動植物感染菌から産業菌まで多様な種が存在する。糸状菌を培養すると菌糸が接着して菌糸塊を形成し、形態分化やストレス耐性などの多様な生物機能が発現するが、菌糸接着の分子機構は全く不明であった。糸状菌の細胞は多糖から成る細胞壁で覆われており、基質を含む外界の認識・接触は細胞壁を介して行われる。我々は、これ迄に糸状菌細胞壁の不溶性多糖α-1,3-グルカン(AG)と水溶性ガラクトサミノガラクタン(GAG)が菌糸接着因子であることを発見した。本研究では、AGおよびGAGを発現する変異株を用いた菌糸接着能解析、及び精製糖鎖を用いた糖鎖間相互作用解析により、菌糸接着の分子機構の統合的理解を図る。
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研究成果の概要 |
真核多細胞微生物の糸状菌(カビ)は細胞が連なって糸状の菌糸として生長する。我々は菌糸細胞壁外層に存在するα-1,3-グルカン(AG)およびガラクトサミノガラクタン(GAG)を菌糸接着因子と同定し、AG及びGAGの欠損により菌糸分散を達成した。本研究では糸状菌のAG生合成に関与する酵素の変異体の菌糸接着性とAG分子量の関係性を解析した。その結果、AG分子量が40-150万程度では菌糸が接着し、AG分子量が15万以下程度に低下すると菌糸が分散することが明らかになった。またAGオリゴ糖を被覆した微粒子を用いてin vitroで分子量の異なるAGの接着能を評価する系を構築した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
糸状菌は天然に300万種以上存在し、特に陸圏において分解者として動植物と相互作用しながら地球の物質循環に寄与する。産業では糸状菌の多様な酵素や化成品の生産能を利活用している。糸状菌の発酵生産では大規模な液体培養を行うが、菌糸接着で菌糸塊が形成され、その内部の酸素欠乏により自己消化して生産性が低下することが課題となっていた。本研究の成果は、菌糸接着因子であるα-1,3-グルカン(AG)の生合成機構の観点から、菌糸接着とAG分子量の関係性を明らかにしたことで、産業課題である菌糸分散性制御技術の開発を可能にする。AG量および分子量を低下させて菌糸を分散させることで、物質生産性は向上する。
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