研究課題/領域番号 |
20H02902
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
藥師 寿治 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (30324388)
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研究分担者 |
阿野 嘉孝 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (00403642)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | 応用微生物学 / 発酵 / バイオテクノロジー / 酵素 / 酢酸菌 / 代謝工学 / 応用微生物 / イメージング / タンパク質細胞内局在 |
研究開始時の研究の概要 |
酢酸菌はペリプラズム空間と呼ばれる細胞表層に物質酸化系持つという特徴を持つ。ここに,酸化反応以外の代謝系を移植する「ペリプラズミック代謝工学」を施す。細胞質での代謝に比べて,①細胞質への取り込みや細胞質からの排出に関わる時間とエネルギーの抑制,②毒性物質そのもの,あるいは毒性の中間体を経る代謝経路の構築,③代謝上不安定で短寿命な化合物の生産,に優位性がある。ペリプラズム空間で営まれる代謝の,物質生産における優位性を実験で検証する。これを達成するために,酸化反応に加え,脱水,水和,脱炭酸反応をペリプラズム空間に持ち込む。この実現によって代謝工学分野に新しい可能性を提示する。
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研究成果の概要 |
酢酸菌は,細胞表層に特徴的な物質酸化系を持ち,酢酸発酵やビタミンC生産におけるソルボース発酵などに利用されてきた。バクテリアの細胞内区画であるペリプラズム空間での代謝には,細胞質での代謝に比べて利点があると考え,ペリプラズムでの代謝を拡張する「ペリプラズミック代謝工学」の可能性を検証した。最初,天然では細胞質に局在する脱水酵素(リアーゼ)のペリプラズムへの移行を試みた。次に天然では細胞質に局在する異性化酵素の移行を試みた。いずれも代謝速度が上昇した。ペリプラズムへの輸送に関わるタンパク質を発現させることによっても代謝速度の上昇が観察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
持続可能な発展的経済活動の必要性や二酸化炭素排出低減が訴えられている中,微生物を用いた物質生産は廃棄物利用や環境負荷の低減という意味で魅力的なソリューションの一つである。本研究は,古くから物質生産に利用されている酢酸菌を用いた,新しい概念の代謝工学の検証を行った。いくつかの良好な結果を得ることができたので,当初期待していた新しい代謝工学の有効性を確認することができた。本菌でのさらなる展開はさることながら,大腸菌などの他の微生物を用いた展開が想定できる。この研究が,広く微生物による代謝工学の考え方を変え,新しい物質生産系の構築という形で波及していくことを期待する。
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