研究課題/領域番号 |
20H02903
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土居 克実 九州大学, 農学研究院, 教授 (40253520)
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研究分担者 |
田代 康介 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00192170)
廣政 恭明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40291934)
岩本 武夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90568891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 繊維状ファージ / 好熱性微生物 / 感染防御機構 / トランスクリプトーム / プロテオーム / 溶菌性ファージ / 溶原性ファージ / 分泌 / Transposase / 好熱性ファージ / Inovirus / Thermos thermophilus / M13 / 一本鎖DNA結合性タンパク質 / ゲルシ フトアッセイ / サーマルシフトアッセイ / ファージ / Inoviridae / 極限環境 / 遺伝子水平伝播 / 遺伝子進化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまでに報告例のない好熱性繊維状ファージの宿主認識、DNA複製、転写・翻訳、分泌など生活環に関わる分子機構と遺伝子機能を明らかにし、常温性繊維状ファージのそれらと比較する。また、転移酵素遺伝子をゲノム上にもつ繊維状ファージDNAの溶原化と切出し機構を解明し、極限環境下での遺伝子水平伝播の機構を解明する。さらに、溶菌を伴わない繊維状ファージ感染を宿主細胞が「侵入」と認識して応答するか否かを、溶菌ファージ感染に応答する獲得免疫システムの経時的転写プロファイルとの相違を基に解明して、好熱性繊維状ファージに対応する獲得免疫システム調節因子の存在を究明する。
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研究実績の概要 |
T. thermophilus HB8株を宿主とし、溶菌性ファージYS40、繊維状ファージφOH3、φOH16をそれぞれMOI=1で感染後、経時的に培養菌体を回収し、mRNAを精製した。これらを用いて200 bpのペアエンドシークエンスを行い、RNAseq解析を行った。その結果、各ファージ感染菌体において顕著な転写変動が検出された。この結果から有意に転写増大または減少した遺伝子について定量PCRを行い、時間的挙動を解析する予定である。 また、φOH16のTransposaseと推定されるORFをpET21ベクターにクローニングし、大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。この形質転換帯をIPTG誘導し、NTA-アガロースにより精製したTransposaseタンパク質を得た。本タンパク質は次年度のDNA footprinting等の実験に供する予定である。 さらに、溶菌性ファージYS40、繊維状ファージφOH3、φOH16の脱凝集機能を評価する為、アミロイドβ等の各種凝集性タンパク質との相互作用を検討した。混合物を各温度でインキュベート後、ネガチブ染色し、透過型電子顕微鏡で観察した結果、溶菌性ファージで認められなかった球状の凝集隊が繊維状ファージ添加時のみ確認された。本現象についての分子生物学的解析を次年度行う予定である。 溶原性ファージOH2については、マイトマイシンC等の添加によるプロファージの誘導条件を決定し、得られた誘導ファージ粒子の再感染性を検討した。その際、誘導ファージの安定性について、各pH、塩濃度、バッファー組成などから、至適条件を決定した。本ファージの組み込み・切り出し機構について22年度以降にRNAseqを用いて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症の蔓延により、研究活動が抑制されたが、今年度の目標であったRNAseqが実施できた。膨大なデータ量のため、解析に時間を有しているのが課題であるが、それも着実に実施できている。また、Transposase遺伝子の発現では不溶性画分に生産されたものを条件検討を繰り返すことで可溶性画分に生産することにも成功したので、以降の実験に問題なく使用できる。 研究分担者とも連絡を密に取り、共著も発表でき、さまざまな方向性で研究が推進できていることから概ね良好と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
特に大きな変更はなく、当初の研究計画を実施する予定である。また、研究代表者が海外渡航(アイスランド)可能になれば、アイスランド大学の微生物学研究者と共同で、同地の極限環境ファージの分離を行う予定で、この研究に複合的な解析結果を付加することが期待できる。
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