研究課題/領域番号 |
20H02926
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大沼 正人 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90354208)
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研究分担者 |
中村 卓 明治大学, 農学部, 専任教授 (30328968)
佐藤 眞直 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 産業利用・産学連携推進室, 主席研究員 (30360837)
金田 勇 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (30458129)
栃原 孝志 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (70458131)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 食品科学 / 量子ビーム / 微細組織解析 / ナチュラルチーズの微細構造 / 非破壊ナノ構造解析 / ナノ構造解析 / CCP / チーズのナノ構造 / カゼインミセル / コロイド状リン酸カルシウム / ナチュラルチーズ / 熟成プロセス / カゼインミセルネットワーク / 直接観察 / 混ざり方の定量化 / スローオペランド |
研究開始時の研究の概要 |
原乳から凝乳、カード、チーズへと至る過程で生じる微細組織変化を逆空間・実空間・力学的応答の3つの視点から検討する。特に、凝乳過程およびカードからチーズ熟成初期過程をラボX線小角散乱(SAXS)装置を用い、単一試料のナノ組織変化を数日間、連続的に定点観察する。試料は原乳から製造プロセスまで制御パラメータを完全に明確化した条件で製造する。以上により、微細組織の時間発展および殺菌温度やホモジナイズがその後の凝乳プロセス、チーズ製造プロセスに及ぼす影響を検討する。特に、これまで連続的観測が困難であったコロイド状リン酸カルシウム(CCP)の役割に着目して、チーズの形成機構をナノ組織から解明する。
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研究成果の概要 |
X線小角散乱法を中心とした手法により、ナチュラルチーズのナノ構造および物性におよぼすプロセス依存性について検討した。通常のゴーダチーズ製造法で製造したチーズを基準とし、ホモジナイズ処理を行い脂肪球を微細化した原料乳を使い、他のプロセスは全て同じに揃えて製造したナチュラルチーズと比較、ナノ構造と物性の差異を検討した。その結果、カゼインミセルの凝集構造に明瞭な差を観測した。具体的にはホモジナイズ処理したチーズの凝集構造がより細かいことがX線極小角散乱測定のプロファイルの差から明らかとなった。この微細構造の差により、ホモジナイズ有りチーズは柔らかい物性を示し、ナノ構造と物性のリンクを解明できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電子顕微鏡を用いたナノ構造観測では水を含んだ系の解析は難しい。このため、乳の構造についてはX線小角散乱(SAXS)法が用いられることが多い。一方、SAXS法の実験の多くが大型放射光施設を使用しているため、モデル系を使った実験が多く、生乳やそれを使った製品であるチーズのナノ構造の研究は少ない。本研究では、実験室系のSAXS装置を使うことで、チーズ製造現場と解析装置とを近接させ、実際のチーズ製造プロセスがどのようにナノ構造や食感にどのような影響を与えるかを初めて示すことができた。今後、原料乳の乳質を各成分の分散状態まで含めて解析を進めることで、チーズの製造性との相関を解明できると考えられる。
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