研究課題/領域番号 |
20H02958
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 敏央 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (00442830)
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研究分担者 |
小川 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 上級研究員 (10456626)
米丸 淳一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, グループ長 (40355227)
古田 智敬 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (70774008)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | イネ / 育種法 / ゲノム / 多系交雑 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
多系交雑育種は優れた表現型の出現頻度を高めることから、他殖性作物では標準的な育種操作であるが、自殖性作物では殆ど行われていない。本研究では、代表者らが作出した同一の多系交雑に由来するイネMAGIC集団およびイネゲノムシャッフリング集団について、栽培環境による影響も考慮した遺伝的多様性の違いを明らかにする。そして自殖性作物において表現型選抜効率に優れた高能率のゲノム選抜育種技術を構築する。
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研究実績の概要 |
1)ゲノムシャッフリング集団の表現型変異の評価とMAGIC集団との比較 MAGIC集団(165系統)を作出した際の8系交雑F1個体から、遺伝子型の多様性に配慮しながらCy1、Cy2、Cy3と交雑を繰り返し、その後自殖を経たCy3F6世代(166系統)をゲノムシャッフリング集団として完成させた。GBSで得られた8109か所のSNP情報から、集団構造に関わるパラメータおよび同一Founderゲノムが連続するハプロタイプの長さと数を算出し、MAGIC集団(13603か所のSNP情報)における値と比較した。その結果、ゲノムシャッフリング集団では長いハプロタイプを分断する効果が認められた。一方で、交雑に授かる個体によるボトルネックがハプロタイプの多様性やFounderゲノム比率に影響を及ぼす可能性も示唆された。 2)MAGIC集団を用いたハプロタイプGWAS解析で得られた環境と遺伝子型の相互作用の検証 ICP-MSで測定した測定した13種類のミネラルの濃度について、MAGIC集団およびCy3集団のSNP情報を用いたGWAS解析によって、合計159か所のQTLを検出した。また、これらの元素別、部位別の分布から、吸収に関する共通性や特異性を詳細に比較した。元素間の相関係数の比較結果も踏まえて、土壌からワラへのミネラル吸収とワラから玄米へのミネラル移行が異なる遺伝的メカニズムで制御されているという従来の考えをゲノム遺伝学的にも支持する結論が得られた。 多系交雑集団の特性を生かして、QTL周辺の予測遺伝子におけるハプロタイプと表現型効果を比較することで信頼性の高い候補遺伝子の絞り込みを試みた。その結果、既報の複数のトランスポーター遺伝子に加えて、元素の移行に関連するキーワードを含む有望な候補遺伝子が少なくとも19種類推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ゲノムシャッフリング集団の表現型変異の評価とMAGIC集団との比較 育成および評価を進めてきた8系交雑のゲノムシャッフリング集団についてGBSによる遺伝子型の推定を行い、集団内のハプロタイプのブロック数を計算してその数をMAGIC集団に場合と比較した。このような比較はこれまで存在せず、育種において漠然と言われていた多様性拡大における交雑の効果を定量的に明らかにすることに初めて成功した。しかしその結果は純粋に断片化が進んだだけでなく、ボトルネックによると思われる多様性の喪失も検出され、本課題名である「限られた育種母本から高能率に遺伝的多様性を生み出す」手法として確立するためにはさらなる工夫も必要と考えられた。 2)MAGIC集団を用いたハプロタイプGWAS解析で得られた環境と遺伝子型の相互作用の検証 多系交雑であることの利点を生かした候補遺伝子の絞り込みの効率化はミネラル含量に関わる遺伝子群の探索においても威力を発揮し、突然変異体を用いて単離されたモリブデンや亜鉛のトランスポーター遺伝子の自然変異アリルの存在を確認できたとともに、未報告の新しい遺伝子座を多数予測することに成功した。新規遺伝子座を見出す頻度は、長い期間かけて選抜が進んだ出穂期や稈長等の育種形質よりも顕著で、歴史的に育種選抜が行われていない形質については特に本手法が有効であると推定された。
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今後の研究の推進方策 |
1)MAGIC集団のハプロタイプGWASで得られた環境と遺伝子型の相互作用の検証 MAGIC集団を構成する各系統の発育モデルパラメータ値から推定した温度や日長の影響を受けやすい系統グループと受けにくい系統グループについて特性調査を継続し、GxEに関わるゲノム領域の検証を試みる。MAGIC集団を酸性、アルカリ性および無施肥の3種類の圃場で栽培して基本農業形質を評価する。それぞれの試験栽培個体から玄米サンプルを取得し、無施肥区の玄米についてICP-MSで13種類のミネラル含量を測定してハプロタイプGWASを行う。農業形質およびミネラル含量で検出されるQTLについて標準区でのQTLとの異動を明らかにする。 2)ゲノムシャッフリング集団の表現型変異の評価とMAGIC集団との比較 Cy3F8ゲノムシャッフリング集団の基本農業形質の評価を行う。表現型データを用いたハプロタイプGWASで検出されるQTLについて年次変動およびMAGIC集団で得られた検出結果との比較を行う。また、5世代の無作為交雑を繰り返したCy5F3ゲノムシャッフリング集団の世代促進を進める。 3)多系交雑集団による集団改良効果の検証 a)ハプロタイプGWAS結果をもとに粒幅QTLの最大化が期待できる複数の交雑組み合わせを予測して交雑(トップクロス)を実施したが、このF2世代で8種類の親品種の値を大きく上回る超越分離個体が検出された。そこでこれら超越分離個体の一部を用いて後代検定を実施し、超越表現型の安定性を確認する。b)Cy3F6ゲノムシャッフリング集団から得られたバイオマス特性に優れた極長稈系統について栽植本数を変えた栽培試験を行い、既存のWCS用飼料イネ品種とのバイオマス比較を行う。c)九州大学より分譲されたミネラルQTLの複数の候補遺伝子に関する突然変異体を栽培して、遺伝子型の変異とミネラル含量の変化の関連を調べる。
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