研究課題/領域番号 |
20H02977
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
久保 康隆 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特命教授 (80167387)
|
研究分担者 |
牛島 幸一郎 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (20379720)
矢野 健太郎 明治大学, 農学部, 専任教授 (00446543)
阿部 大吾 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 主任研究員 (10414773)
加藤 雅也 静岡大学, 農学部, 教授 (10432197)
赤木 剛士 岡山大学, 環境生命科学学域, 研究教授 (50611919)
河井 崇 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (90721134)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
|
キーワード | エチレン / 果実成熟 / 低温遭遇 / 遺伝子発現 / 低温障害 / 低温 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、低温誘導成熟機構を、温帯性果実種横断的にゲノム・トランスクリプトーム解析、メタボローム解析、遺伝子組換え技術などを駆使して解析し、その統合的理解を目指す先駆的学術的取り組みである。低温誘導成熟果はエチレン誘導果よりも品質保持期間が長い。また、低温感受性の品種間差異は成熟の早生・晩生性に密接に関与している。すなわち、本研究は、収穫後ロス低減に直結する新品質保持技術開発と分子マーカー開発による育種への貢献を目的とする実用的研究でもある。
|
研究実績の概要 |
本研究は、低温誘導成熟機構を、温帯性果実種横断的にゲノム・トランスクリプトーム解析、メタボローム解析、遺伝子組換え技術などを駆使して解析し、その 統合的理解を目指す先駆的学術的取り組みである。低温誘導成熟果はエチレン誘導果よりも品質保持期間が長く、低温感受性の品種間差異は成熟の早生・晩生性 に密接に関与している。本研究は、収穫後ロス低減に直結する新品質保持技術開発と分子マーカー開発による育種への貢献を目的とする。 本年度は、研究の第3段階として、低温遭遇処理、1-MCP処理およびエディブルコーティング処理を行なったカキ、ウメ、トマト果実でのRNAseq解析、ガス代謝解析およびイオン漏出解析に基づいて低温環境への応答および低温障害発生機構の全体像を把握するとともに、低温応答への鍵となる遺伝子および細胞膜状態の解析を試みた。さらに、トマトで低温障害発生抑制技術の開発を試みた。 カキではNAC104およびHSFA2遺伝子が低温応答制御転写因子として機能していることが示唆された。ウメとトマトでも常温下では1-MCP処理によって果実の成熟・軟化の進行が遅延することが示されたが、ウメでは10℃以下になるとその効果は判然とはしなかった。ウメとトマトでも低温応答遺伝子群を抽出し、その中で重要な転写因子の解析を進めている。ウメではエチレン作用抑制剤1-MCP処理によって低温障害発生が促進されるのに対し、トマトではシュガーエステルによるエディブルコーティング処理によって同障害が顕著に抑制されることを見出した。この知見は実際の果実の長期低温貯蔵において低温障害回避によってより長期間の品質保持技術につながると期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたddRAD-seq法によるゲノム分析および品種間のSNP検出が新型コロナ感染症によるマンパワーの不足と予算問題により、やや遅れてしまった。しかしながら、RNAseq解析順調に進展し、各果実における低温応答の共通性と特異性を明確にすることができた。さらに、トマトではエディブルコーティングによる低温障害抑制効果を見出し、実用化への展望を開くことができた
|
今後の研究の推進方策 |
前年までの研究成果に基づいて、本年度は選抜した低温応答遺伝子の塩基配列に基づいて各果実での低温応答性、早晩性判定に使用できる遺伝子マーカー作成を検討する。さらに、各品目の温度応答性 に基づいた低温成熟特性を活用した追熟・貯蔵・流通技術開発を進める。特に 本年度は低温障害発生に品種間差異の大きいウメと10°C以下で低温障害が発生する’富有’カキを主要な材料として、温度変動が極めて少ない 壁面冷却型冷蔵庫と1-MCP処理を組み合わせ、国内高需要期出荷や輸出を 想定したシミュレーション実証を行う。なお、最終年度として、前年までの研究成果を再検討し、不十分点を補うRNAseq解析を行うとともに、国際学会での研究発表を行う予定である。 以上を総合して、新規・低温誘導性成熟信号伝達経路の全貌解明と鍵となる転写因子の決定を 進め、果実の品質保持、貯蔵技術への応用お よび早晩性判定分子マーカーの活用を目指す。
|