研究課題/領域番号 |
20H03003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021-2023) 基礎生物学研究所 (2020) |
研究代表者 |
安藤 俊哉 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (10709744)
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研究分担者 |
新美 輝幸 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 教授 (00293712)
藤本 章晃 岩手大学, 農学部, 特任助教 (10868102)
佐原 健 岩手大学, 農学部, 教授 (30241368)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | ナミテントウ / 染色体逆位 / 種内多型 / エピジェネティクス / ゲノム編集 / 形態進化 / パターン形成 / 遺伝子導入 |
研究開始時の研究の概要 |
多様な形態を獲得してきた昆虫は、種内にも顕著な形態多型を有する。ゲノム科学の発展により、形態多型と関連する遺伝子座において染色体逆位を伴うことが明らかとなってきた。しかし、逆位内に複数の遺伝子が存在する為、どの遺伝子が表現型を多様化させたのかは不明のままである。申請者らは、ナミテントウの200以上の斑紋多型が、単一遺伝子pannier内部での染色体逆位と相関することを発見した。本研究では、染色体逆位の影響を受けるのが単一遺伝子だという利点に着目する。遺伝子導入技術・ゲノム編集技術・次世代シーケンス技術を駆使して「染色体逆位がいかにして表現型を多様化させるのか」という問題を分子レベルで解明する。
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研究成果の概要 |
近年のゲノム科学の発展により、複数の昆虫で種内の形態多型と関連する遺伝子座が同定されてきた。本研究ではナミテントウの斑紋多様化を題材に、染色体逆位を伴う塩基配列の多様化に伴う表現型多様化の分子基盤の解明を目指した。申請者らは、ナミテントウの200以上の斑紋多型の創出の際に生じた染色体逆位が影響を受けるのが単一遺伝子だという利点を活かして解析を進めた。具体的には、(1) pannierの転写制御に重要なエピゲノム情報の解析、(2) ゲノム編集による転写制御配列の機能解析、(3) pannierを中心とした遺伝子制御ネットワークの解析、3つの実験系を確立し、斑紋多様化の分子基盤の一端を解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、ナミテントウの染色体逆位をきっかけとした模様の多様化が、単一遺伝子pannierの「転写制御配列の不活化・獲得」によって生じたことが判明した。従来、逆位が引き起こす表現型進化は、内部の遺伝子群(超遺伝子)の複合的な変異蓄積により生じると考えられていたが、それが単一遺伝子の機能変遷により生じることが判明した。本研究は、表現型進化の新たな機構の一端を明らかにしたという学術的意義を有する。 本研究で開発したゲノム編集技術は、非モデル昆虫であるナミテントウで確立できた技術であり、今後、害虫・益虫を含む他の非モデル昆虫に応用することで多様な表現型進化の理解と操作が可能になると期待される。
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