研究課題/領域番号 |
20H03018
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 雄三 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90226043)
|
研究分担者 |
玉井 裕 北海道大学, 農学研究院, 教授 (50281796)
重冨 顕吾 北海道大学, 農学研究院, 講師 (20547202)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
|
キーワード | 樹皮 / バリア機能 / カワラタケ / ナナカマド / アミグダリン / シアン発生植物 / 傷害周皮 / 樹木 |
研究開始時の研究の概要 |
樹皮は樹木の幹枝の表層を覆い、樹木個体の生存に必須の複数の機能を担う組織であるが、そのバリア機能の発揮メカニズムには未解明の点が多い。そこで本研究では、樹皮組織が病原性微生物の侵入や繁殖をどのようにして防御・制御しているのかを明らかにすることを目的として、様々な樹皮型の生立木から採取した自然状態の外樹皮組織における菌糸体の存否・分布と組織の状態を明らかにするとともに、モデル培養系を使って樹皮組織に対する菌類の忌避性評価・成長阻害活性評価を行う。さらに、その結果に基づいてより詳しい解析の対象とする樹種を絞り込み、どのような構造あるいは含有成分がバリア機能発揮に寄与するのか、解明を進める。
|
研究成果の概要 |
走査電子顕微鏡による計21種の樹皮組織の観察から、樹木の外樹皮組織は生きた内部の組織への菌糸体の侵入をよく防いでいることが明らかであった。木材腐朽菌(カワラタケ)を用いて樹皮組織の抗菌活性を評価する手法を考案し、北海道産25種について試験した結果、ナナカマドの内樹皮組織が極めて強い菌糸成長抑制を示した。そのメカニズムを解析した結果、ナナカマドでは生きた組織・細胞の損傷に応じて発生するシアン化水素が大きく寄与していることが示された。また、樹皮組織には外傷に応じて傷害周皮が速やかに形成され、外界からの菌類の侵入を有効に遮断する様子を捉えることができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
樹木の樹皮組織に関する研究は、産業的に多用される材組織に比べて、基礎・実用レベルのあらゆる面で研究が立ち遅れており、樹皮の構造、性質、機能に関する我々の理解は乏しい。本研究では、樹皮組織の基本構造、および樹皮が保護組織としての機能をどのように発揮しているのかについて、いくつかの新知見を得ることができた。植物学、森林保護学などの関連分野において意義深い成果と位置付けられる。とくに、ナナカマドという緑化樹として身近な樹木の樹皮組織が損傷を受けると、含有成分由来の猛毒ガスが生じることを示したことは、市民生活にも関わり、社会的にも意義深いことであると考える
|