研究課題/領域番号 |
20H03030
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
檀浦 正子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90444570)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 師部輸送 / 師管流モデル / 13Cパルスラベリング / シンクソース / 日周期 / 師液流モデル / 森林炭素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
森林生態系は地球炭素循環において大きく複雑な役割をもつ。森林を構成する樹木の師部輸送を説明するには、草本で発達してきた圧流説では限界がある。そこで、樹木の師部輸送を説明するために昼と夜の日周期が与える効果に着目する。本研究では1) 師液流速を13Cラベリングにより実測し、駆動力であるソースとシンクの圧力差を推定し、日変動するのかを検証する。また2) ソースである葉に13Cラベリングを適応し、葉から師液への光合成産物の流入の日周期を評価し、3)シンクである幹と根の成長と呼吸をモニタリングする。そして、日周期を考慮にいれた師液モデルを検証し、高木における師液輸送の仕組みに迫る。
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研究成果の概要 |
13Cパルスラベリングと4高度の幹呼吸中の13CO2濃度の上昇から、ヒノキの高木を流れる師部輸送は、光合成により葉に固定されてから根へ至るまでに5,6日かかり、その間に速度が速くなったり遅くなったりしながら光合成産物を輸送している様子が明らかになった。異なる年の秋に計4回行った13Cパルスラベリングでは、同じ部位でも師部の輸送速度が異なった。日照時とそれ以外を考慮して解析した結果、師部輸送は日照時は低いかゼロであり、曇天時と夜間は高い(0.15-0.24mh-1)ことが推測された。このことはシンクとソースの圧力差(駆動力)が日中よりも夜間のほうが高い点からも支持された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、師部輸送において、これまで考えられてこなかった日周期があるということを明確に示す結果である。天気がいい場合には葉で光合成を盛んに行うが、光合成産物を樹体に配分するには夜間であることが明らかになった。おそらく夜間に樹体内の水条件が回復し、膨圧の差が大きくなり光合成産物の輸送が活発になるからだと考えられる。これらの知見は今後、樹木の成長の日周期とも連動して考察することで、巨大な樹木の基本的な生命活動を明らかにする一助となる。またどの程度の乾燥条件が続くと光合成産物が枯渇するといった枯死メカニズムに関する課題など植物の根源的な多くの疑問を解き明かすために重要な意味合いを持つ。
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