研究課題/領域番号 |
20H03043
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 (2022-2023) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
久住 亮介 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70546530)
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研究分担者 |
和田 昌久 京都大学, 農学研究科, 教授 (40270897)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 磁場配向 / 固体NMR / セルロース / 分解酵素 / 構造解析 / in situ測定 / 単結晶振動パターン |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能な社会の構築のため、セルロース系バイオマスの酵素糖化による燃料・化学品への変換技術の開発が盛んである。糖化プロセスの高効率化のためには、結晶セルロースを分解するセルラーゼと結晶セルロースの結合部位についての、実際の加水分解プロセス中における原子レベルでの構造・動態の解明が欠かせない。本研究では、液体中における微小な結晶の単結晶構造解析が可能なin situ三次元磁場配向NMRシステムを新たに構築し、結晶セルロース-染料複合体をモデルとして同システムによる解析手法を確立した上で、同手法による結晶セルロース-セルラーゼ複合体の結合部位における局所構造とその動態の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、液体中における微小な結晶の単結晶構造解析が可能なin situ三次元磁場配向NMRシステムを新たに構築し、結晶セルロース-染料複合体をモデルとして同システムによる構造・ダイナミクス解析手法を確立した上で、同手法による結晶セルロース-セルラーゼ複合体の結合部位における局所構造とその動態を解明することを目的としている。三年目となる2022年度は、当初の研究計画に基づき次の課題を遂行した。 課題(A):in situ三次元磁場配向NMRシステムの構築 前2021年度では、試料管の変調回転軸とその軸の一時傾斜が可能な二軸可変型の磁場配向プローブについて設計を見直し、NMRプローブとしての性能と解析精度を向上させた。そこで2022年度においては、二次元測定の手法と組み合わせることで、複雑な化合物の解析に対応させた。相関スペクトル測定用のパルスシーケンスを試料管の変調回転に同期させることで、配向方位の異なる共鳴ピーク間の相関を二次元スペクトル上で検出することに成功した。以上により、開発した同NMRシステムは共鳴ピークが重複しがちなセルロースなどにも応用できることを示した。 課題(B):染料系をモデルとしたin situ三次元磁場配向NMRによる構造・動態解析手法の確立 前年度に引き続き、酢酸菌の培養や酵素触媒重合などにより13Cラベル化セルロースの水懸濁液の調製を行った。また当該研究者の森林総合研究所への異動に伴い、所属先での当該課題の遂行のための実験・研究環境の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、次の3つの小課題にて構成されている。課題(A)、in situ三次元磁場配向NMRシステムの構築;課題(B)、染料系をモデルとしたin situ三次元磁場配向NMRによる構造・動態解析手法の確立;課題(C)、結晶セルロース-セルラーゼ複合体のin situ構造・動態解析。 三年目となる2022年度は、課題(B)および(C)へのin situ三次元磁場配向NMRシステムの適用に向け、多次元シーケンスの実装に取り組んだ。13C相関測定用のパルスシーケンスを試料管の変調回転と同期させることで、NMR静磁場に対する配向方向の異なる共鳴ピーク間で相関を検出することに成功した。これにより、セルロースなど共鳴ピークの重複が問題となる複雑な化合物の微小結晶でも、単結晶NMR解析が可能であることが示された。また並行して、酢酸菌の13Cラベル化培地での培養やセロデキストリンホスホリラーゼを利用した酵素触媒重合により、13Cラベル化されたセルロース微結晶の水懸濁液も得られている。これらにより、結晶セルロース-セルラーゼ複合体などのin situ構造解析の準備が概ね完了した。 一方、当該研究者は研究および自身の更なる飛躍を求め、2022年10月より国内有数の森林研究機関である森林総合研究所へと移動した。これにより、開発したin situ三次元磁場配向NMRのセルロース系多糖への応用がより円滑に行える環境を獲得できた。その一方で、研究活動の再開に向けた諸手続きと実験環境の整備が必要となり、課題(B)の遂行が翌年度にずれ込むなどの遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の移動に伴う遅れを考慮しつつ、下記の課題を遂行する。 課題(B):染料系をモデルとしたin situ三次元磁場配向NMRによる構造・動態解析手法の確立 13Cラベル化セルロース微結晶/水懸濁液をin situ三次元磁場配向NMRに供し、13C化学シフトテンソルを決定する。次に、Congo Redなどの直接染料を各ラベル化セルロースに作用させ、セルロース-染料複合体の懸濁液を調製する。in situ三次元磁場配向NMRにより結合部位における13C化学シフトテンソルを決定し、量子化学計算を援用して局所構造を精密化する。その上で、セルロース微結晶・染料単体とセルロース-染料複合体の比較考察を通じ、結合部位の局所構造と運動性の変化について論じる。in situ三次元磁場配向NMRによる構造・ダイナミクス解析の理解を深め、課題(C)に向けた解析ノウハウを集積する。 課題(C):結晶セルロース-セルラーゼ複合体のin situ構造・動態解析 大腸菌発現系により、Tyr残基が13Cラベル化された子嚢菌T. reesei由来の糖結合モジュール(CBM)を調製する。これを13Cラベル化セルロースに懸濁液中で作用させ、in situ三次元磁場配向NMRに供して結合部位における13C化学シフトテンソルを決定する。また、解析精度の向上のため固体13C-13C長距離相関NMRによりセルロース-CBM結合部位の原子間距離情報を取得するとともに、温度可変測定によるダイナミクス解析を達成する。既往のCBMの立体構造やセルロース単独の構造データ等との比較考察を通じ、セルロース-CBM結合部位における局所構造や分子運動性の変化、脱吸着などの動態を解明する。
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