研究課題/領域番号 |
20H03052
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
久保島 吉貴 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353669)
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研究分担者 |
加藤 英雄 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60370277)
原 忠 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (80407874)
柴 和宏 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター木材研究所, 副主幹研究員 (90446641)
園田 里見 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター木材研究所, 副主幹研究員 (80446640)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 木杭 / 振動 / 地盤 / 端末条件 / 強度特性 / 振動試験 |
研究開始時の研究の概要 |
木杭の空気相と土相の境界部分の状態を明らかにし,木杭の強度特性を打設状態のまま推定するための基礎的知見を得ることを目的とする。この目的に有望な振動試験は,試験体の密度を測定し試験体を打撃するだけで済む簡便で優れたヤング率の非破壊測定方法であるが,解析には試験体の端部の状態が必要となる。木杭の一部分が引き抜かれた状態で振動試験を行えば,木杭を完全に引き抜く労力が低減できるため,木杭の地中における端部の状態を明らかにする。このため,木杭の空気相と土相の境界部分の状態に影響を与える因子,木杭の打設現場に適した振動検出器および木杭に対する質量付加振動法の利用可能性について検討する。
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研究実績の概要 |
2020年12月に森林総研構内に,また2021年2月に富山県木材研究所構内に打設した木杭のうち5本ずつをそれぞれ2022年12月および9月に実験に用いた。木杭の杭頭から1mの部分の周囲の土壌を除去し露出させ,木杭を片持ち梁とみなして質量付加振動法から木杭の質量を推定した。木杭を引き抜き,寸法および質量を測定し,縦振動試験からヤング率を測定した。木杭の土中部分を不完全な固定条件と仮定し,固定条件の完全さの程度を,(共振周波数比)=(実測値)/(縦振動によるヤング率を基にした理想的な片持ち梁条件に対する計算値)で表した。完全さの程度を打設翌日と比較した場合,富山県231日後において有意差が認められた。これは木杭埋設現場内の地盤の不均質性(人頭大の河床礫,油圧ショベルのバケットに相当する大きさのコンクリートガラ)が関係していると考えられた。それ以外は,杭埋設による木杭の地中部分の端末条件の経時変化は大きくない可能性が考えられた。 相対密度80%, 30%の2層モデル地盤中に長さ750mmのモデル木杭のうち400mmを地中埋設した。モデル地盤の構成は杭先,杭頭側にそれぞれ密度80%,30%の地盤を配置した。密度80%,30%の地盤の割合は,杭先側:杭頭側=0:1, 1:3, 1:1, 3:1, 1:0とした。モデル木杭に曲げ振動試験を行なった結果,完全さの程度は密度80%の地盤の増大と共に増大した。以上より地盤の鉛直方向の層構造が端末条件に影響を与えることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
施工後約2年経過した木杭の杭頭から1mの部分の周囲の土壌を除去し露出させ,木杭を片持ち梁とみなして質量付加振動法から木杭の質量を推定した。木杭を引き抜き,寸法および質量を測定し,縦振動試験からヤング率を測定した。木杭の土中部分を不完全な固定条件と仮定し,固定条件の完全さの程度を,(共振周波数比)=(実測値)/(縦振動によるヤング率を基にした理想的な片持ち梁条件に対する計算値)で表した。完全さの程度を打設翌日と比較した場合,富山県231日後において有意差が認められた。これは木杭埋設現場内の地盤の不均質性(人頭大の河床礫,油圧ショベルのバケットに相当する大きさのコンクリートガラ)が関係していると考えられた。それ以外は,杭埋設による木杭の地中部分の端末条件の経時変化は大きくない可能性が考えられた。 相対密度80%, 30%の2層モデル地盤中に長さ750mmのモデル木杭のうち400mmを地中埋設した。モデル地盤の構成は杭先,杭頭側にそれぞれ密度80%,30%の地盤を配置した。密度80%,30%の地盤の割合は,杭先側:杭頭側=0:1, 1:3, 1:1, 3:1, 1:0とした。モデル木杭に曲げ振動試験を行なった結果,完全さの程度は密度80%の地盤の増大と共に増大した。従って,地盤の鉛直方向の層構造が端末条件に影響を与えることが分かった。 以上より,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
打設後3年経過した実大木杭の振動特性を検討する。実大木杭への質量付加振動法の利用可能性を検討する。 湿潤状態の土壌によるモデル地盤を作製し,モデル木杭を打設する。打設したモデル木杭に対して振動試験を行い,モデル木杭の地中部分の端末条件に及ぼす土壌中水分の影響を検討する。
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