研究課題/領域番号 |
20H03056
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
和田 敏裕 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (90505562)
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研究分担者 |
三田村 啓理 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (20534423)
難波 謙二 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70242162)
野田 琢嗣 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (70749184)
高田 兵衛 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (80642347)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 魚類 / 放射性セシウム / 漁業復興 / 福島県 / 食物連鎖 / 原発事故 / 海水魚 / 淡水魚 / 食物網 / 魚類生態 / 福島 |
研究開始時の研究の概要 |
原発事故から9年以上が経過した現在においても、福島県では原発周辺の海域~陸水域に生息する魚類の放射性セシウム(Cs)汚染が継続し、漁業再興への大きな障害となっている。本研究では、1)原発周辺水域を中心とした福島県に生息する魚類(海水魚および淡水魚)の多様な環境下での食性やサイズに応じたCs濃度の把握、2)モデル魚種の放流試験によるCs蓄積過程の把握と移動や成長による影響評価、および 3)飼育試験によるCsの取込・排出過程の把握、の3課題の遂行により魚類のCs汚染機序を統合的に解明し、Cs濃度の将来予測を通じて福島県の海面・内水面漁業の再興に資する。
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研究実績の概要 |
福島県の海面・内水面漁業は、原発事故から12年以上が経過した現在においても、水産生物の放射性セシウム(Cs)汚染の影響により、一部水域における操業の制限を余儀なくされている。本研究の目的は、原発周辺も含め、福島県の海面および内水面に生息する魚類の生態特性に応じたCs 汚染実態の解明を目指すともに、本研究の成果を国内外に公表し、風評被害の払拭など、科学的根拠に基づく福島県の漁業再生に資することである。令和4年度は、水産生物(海面・内水面)のCs汚染状況や漁業の復興状況について、シンポジウムや地域活動、メディア等を通じて積極的に発信した。具体的には、福島大学環境放射能研究所が主催したシンポジウム「豊かな福島の海を未来につなぐ~原発事故からの回復と漁業復興に向けた課題~」等で発表した。また、福島県漁業協同組合連合会が運営する地域漁業復興協議会に委員として引き続き参加し、福島第一原発や周辺環境の状況把握に努めるとともに、海域における操業拡大化や好適な販売手法の確立に向けた討議に加わった。調査結果として、海面では、海産魚類のCs濃度が低い実態を引き続き明らかにするとともに、福島県の重要魚種であるホシガレイ等のバイオロギング調査を行い、魚種ごとの移動範囲や季節ごとの行動特性を明らかにした。一方、内水面では、原発周辺地域の河川・湖沼域や貯水池に生息する淡水魚の調査を行い、これらの魚種のCs濃度が海水魚に比べて依然として高く、餌を介したCsの取込みの継続によりCs濃度の低下が遅い実態を明らかにした。また、広塩性魚を用いた飼育試験を行い、Csの取込・排出に関わる生理的なメカニズムを明らかにした。 得られた成果の一部については、国際誌(Journal of Environmental Radioactivity)や書籍(東日本大震災から10年 海洋生態系・漁業・漁村)等を通じて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、海面・内水面における調査を引き続き継続するとともに、水産生物の放射能汚染状況ならびに漁業の復興状況について、シンポジウムや講演会、メディア等を通じて研究者や一般市民に向けて積極的に発信した。また、得られた研究成果について、複数の査読付き学術論文や書籍等で公表した。特に、原発近傍の河川の上流域から河口域に生息する様々な魚類のCs汚染メカニズムについて、Journal of Environmental Radioactivity誌に報告した。また、編者として、日本水産学会監修のe-水産学シリーズ「東日本大震災から10年 海洋生態系・漁業・漁村」をとりまとめ公表した。以上のように、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進展している。今後も、分担者や共同研究者と研究課題を推進するとともに、研究成果について、地元の漁業関係者や一般市民等に向け、積極的に発信していくとともに、査読付き国際誌等を通じて積極的に公表していく。
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