研究課題/領域番号 |
20H03062
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮崎 勝己 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20263064)
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研究分担者 |
玉置 雅紀 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 室長 (00311324)
冨山 毅 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20576897)
山田 勝雅 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (80569195)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | カイヤドリウミグモ / 環境DNA / 個体群動態 / 個体群存続性解析 / 集団遺伝解析 / ミトコンドリアゲノム / プライマーセット / セメント腺 / 宿主移動 / シオフキ / マイクロサテライトマーカー / COI領域 / マイクロサテライト / 寄生率 / コホート解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アサリ等の二枚貝に内部寄生し漁業被害を与えるカイヤドリウミグモに対して、これまで得てきた本種に関する様々な生物学的知見を発展・適用し、「進化・遺伝学的アプローチ」と「生態学的アプローチ」の2つを主軸とした被害防止・軽減のための具体的な水産対策手法を提案するために、以下のA~Eの課題に取り組む。 A.早期発見のための環境DNA解析、B.地域集団の由来解明のためのマイクロサテライト解析、C.根絶法の開発のための個体群消失地松川浦の物理環境・個体群動態解析、D.根絶法の開発のための個体群維持地東京湾の個体群存続性解析、E.生態系への影響評価と漁場の回復に対する具体的提案。
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研究実績の概要 |
カイヤドリウミグモのミトコンドリアゲノム配列について、ほぼ全域の読み取りが完了し、これにより環境DNAによるカイヤドリウミグモ検出のためのプライマーセットの更なる探索に目処が付けられた。 これまで記載の無かったカイヤドリウミグモ雄成体のセメント腺(受精卵塊をまとめるセメント物質の分泌腺)について、組織切片及び走査型電子顕微鏡により、その性状を観察・記載した。カイヤドリウミグモのセメント腺は、他のウミグモ類に比べ非常に発達していることが確認された。またセメント腺孔(セメント物質の放出孔)を国内複数産地の個体及び地中海産個体(1個体のみ)について観察した。孔数についてはばらつきが大きく、産地間に有意な差は認められなかったものの、孔の形状に種レベルの差異が存在する可能性を見出した(鈴木・宮﨑, 2021学会発表)。 以前東京湾盤津干潟にて行ったシオフキの野外調査データを整理し、シオフキ潜砂個体と非潜砂個体間で、カイヤドリウミグモ幼生の寄生率や幼生の発達段階に有意な差があることを見出した。また宿主死亡後の寄生ウミグモが、若い段階の幼生では宿主に留まり運命を共にするのに対し、後期幼生では新しい宿主へ移動し生残する能力を有することを見出した。 以前福島県松川浦にて行ったアサリの生産能力を高めるための産地内移植実験のデータを整理し、カイヤドリウミグモ幼生の寄生がアサリの成長に負の影響を与えることを見出した(Tomiyama & Sato, 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続きコロナ禍に伴う厳しい移動規制がかかったため、新規個体の採集を行うことが出来ず、当該年度は各研究室で保管している標本を用いた観察、及び過去に得られたデータを用いた解析を行うに留まったため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による各種規制を踏まえた上で、新規個体の入手に努め、開発したプライマーセットを用いた環境DNAによる室内検出実験を行う。 研究に必要な個体数の確保が出来なかった場合は、引き続き既存の標本とデータを使った研究を中心に進める。既存の標本については、複数の研究機関に分散して保管されているため、それらの標本情報を整理し、最大限活用できる体制を構築する。
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