研究課題/領域番号 |
20H03063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
萩原 篤志 長崎大学, 水産学部, 特定教授 (50208419)
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研究分担者 |
金 禧珍 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (10823437)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 海産ワムシ類 / 遊泳行動 / 行動制御 / 遺伝子発現解析 / カイアシ類 / ミジンコ類 |
研究開始時の研究の概要 |
生産性の高い沿岸域に生息するカイアシ類などの天然餌料(不規則で複雑かつ速い動き)は仔魚にとって摂餌しにくいにもかかわらず、仔魚は強い選択性を示し、これを摂餌した仔魚は良好な成長を示す。種苗生産の汎用餌料であるワムシは、天然餌料と栄養的にほぼ等価で、仔魚が摂餌しやすい滑らかな動きを示すにもかかわらず、仔魚の成長は劣る。ところで、粗放的な屋外培養池のワムシや天然域に生息するワムシはカイアシ類に匹敵する、活力に富む動きを示すことがあるが、諸条件を制御した人工的な培養でこれを再現した例はない。本研究では、粗放培養のワムシ生産を実験室で再現し、ワムシの行動を天然餌料に近づけるための因子解明を行う。
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研究成果の概要 |
鉄と亜鉛の濃度上昇に伴って、温帯性と熱帯性のワムシ共に遊泳速度が速くなった。非解離アンモニア濃度の上昇でも同様であった。低酸素条件への曝露は温帯性ワムシの増殖を阻害したが、熱帯性ワムシには影響を与えなかった。このとき熱帯性ワムシの増殖も昂進した。低酸素下では解糖系によるATP産生が活発化し、温帯性ワムシでは活性酸素レベルが上昇した。また、エネルギー供与体として原生動物の繊毛運動を活性化するアルギニンリン酸はワムシの遊泳も活発にした。アルギニンリン酸によるADPのリン酸化で生じるATPと、モータータンパク質(ダイニン)を水中に添加したところ、非解離アンモニアの曝露下でワムシの遊泳速度が増加した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
栄養状態の良いワムシを飢餓や悪環境に曝露すると、当該環境からの逃避行動とみなせる活発な遊泳を示すことを現象面とその分子機構から明らかにした。その結果、海産仔魚の主要な天然餌料であるカイアシ類に準じるような遊泳行動をワムシが示すようになった。 遊泳速度の速い餌生物に対し仔魚は失敗を重ねても摂餌を活発に継続し、良好な成長と活力を示すことが知られている。本研究の成果により、魚類種苗生産時の生物餌料として汎用されるワムシの遊泳行動を制御することが可能となり、生産される稚魚の質的改善に役立つことが期待される。
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